神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
話題のこの人 : 橋本豊行氏(外宮領小川町奉曳団団長)
式年遷宮で二ヵ年にわたる「お木曳き」行事を迎える

「何よりも事故のないように」

    平成25年に迎える第62回の伊勢の神宮式年遷宮に向け、2ヵ年にわたって御用材を内宮・外宮に運び込む「お木曳き(おきひき)」行事が、4月12日(内宮・川曳き)、13日(外宮・陸曳き)の「御木曳初式」と「役木奉曳」で幕を開ける。
    この「お木曳き」行事で、外宮領・小川町(現在の伊勢市中島)の奉曳団長を務めるのが橋本豊行氏。

    各町内からなる奉曳団は内宮・外宮あわせて82団。うち外宮領・小川町奉曳団は、主要材を運ぶ「役木奉曳」という行事を執行する選ばれた奉曳団の一つ。しかも、陸曳き行列の先頭、栄えある「一番車」を曳く重責も担う。

 「それはもう名誉なことですが、何よりも事故のないよう一所懸命やります。何かあったら、えらいことで。もう町を歩けませんから」と、笑いながらも目元は真剣だ。怪我と不浄がとりわけ忌避される神宮の諸行事では、奉仕者の事故にはどの町内の団長も最大限の配慮を注ぐのだという。「お木曳きには医者も同行します」

    本業は不動産・燃料・住宅設備機器などを扱う会社社長。奉曳団長のなかでは若いほうだが、全奉曳団からなる本部でも役員を務めている。一連の行事に関わる準備から人事、会計、お木曳き各当日の先導まで、あらゆる事項を取り仕切らねばならず、すでに粉骨砕身、緊張の日々に突入している。

 「なにしろ大神嘗祭≠ニいわれるように、日本最大、最高の、20年に一度の神事ですから」 

    来年春の棟持柱の御奉曳をもって円成するまで、意識は「社長」より「団長」にシフトすることになりそうだ。

「またとないお祭り。奉曳参加者はぜひ楽しんで」

    町衆代表として自身には余念がないが、「一日神領民」と称して全国各地からお木曳きに加わる人々に対しては、気を楽に参加してもらえればとの意向だ。

 「神事ですからご奉仕の気持ちを持っていただくのは当然。でも、またとないチャンスなので、ぜひ楽しんでもらいたいと思うのです。お祭りにとって、楽しいというのは大事なことですよ」と歓迎のメッセージを語ってくれた。

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