神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
モスクワで初の武道シンポ

神道国際学会モスクワ代表部が開催
東京、ニューヨークに続いて


    平成17年(2005年)12月20日、モスクワ市で国際シンポジウム「武道の精神的・実用的価値」が開催された。
    会場は、開会式と講演が、ロシア国立図書館付属東洋文庫で午前10時から午後3時まで、引き続き、午後3時から5時30分までは実技が、モスクワ武道館で行われた。
    主催は、神道国際学会モスクワ代表部と、武道に関する人道プロジェクトを支援しているロシアの「武道スポーツ」社。武道館では、エイルゾ・ダブィド氏(養神館合気道六段)、ワトリナ・エレナ氏(剣道三段)、ナタロフ・ワレリ氏(空手道今野塾二段)が実技を披露した。
    このような神道と武道に関する国際シンポジウムが開かれたのは、ロシアでは初めてのことで、モスクワの国際連合広報センターとロシア日本研究会の支援を受け、ロシア国内からはもちろん、日本、ベラルーシ、イギリスから、52名の参加があった。参加者の中には、国際交流基金スタッフや産経新聞の記者の顔もみられた。
    このシンポジウムは、国際連合が提唱した「2005年スポーツと体育の国際年」にちなんで、国際連合の経済社会理事会と広報局にNGOとして認可されている神道国際学会とインターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)が協力して、7月には東京、9月にはニューヨークで、そして12月にはモスクワで、同じタイトルのもとで開催されたもの。(神道フォーラム平成17年9月15日号11月15日号参照)

講演者も武道の実践者

    このシンポジウムの特徴は、講演者のそれぞれが、科学的な活動や社会的活動で著名であると同時に、武道の専門家であることであった。
    開会式で挨拶に立ったロシア連邦共和国の元総理大臣キリエンコ・セルゲイ・ウラヂレノウィチ氏は、ロシア武道同盟共同議長であり、物理学博士のストルミン・アレクセイ・ボリソウィチ氏は、ロシア武道同盟幹部会員で、ロシア人に空手を初めて紹介した人物である。神道国際学会からはメシャリャコフ・アレクサンドル・ニコラエウィチ氏(モスクワ国立大学付属アジア・アフリカ諸国大学教授、日本研究会長、歴史学博士)が挨拶した。
    キリエンコ氏は「武道は精神的・肉体的の要素を集合しており、知恵を通じて和を得、民族伝統を知らせるみちである。このシンポジウムは武道に新しいページを開くと同時に、武道に存在する全面的な人間養育の実現性を理解し、利用するために役立つことを希望する」と述べ、このシンポジウムを高く評価した。
    シンポジウムの課題は、ロシアにおける日本文化に対する興味を、さらに高く科学的なレベルまであげることであり、今回はその先駆けとして大きな一歩となった。
    モスクワ代表部所長のモロジャコワ博士は、次のように語った
「このシンポジウムは、2005年度の神道国際学会モスクワ代表部の最後の仕事であると同時に、代表部の活動の集大成です。本シンポジウムの成果は次のようにいえると思います。
    まず、より広い研究テーマとしての「神道と日本文化」または「日本歴史・文化における神道」の中の一環になったことです。今回とりあげたのは神道と武道ですが、この経験に基づいて、将来には神道と日本伝統的文化の様々な「道」(茶道、書道など)との関係を研究し、またそれを実践している人々及び団体と協力して、有益な活動をすることができます。
    また、神道研究者、日本歴史・文化研究者、武道家たちとの協力の、良い経験になりました。例をあげると、日本歴史・文化研究者のドーリン教授は、武道にも非常に詳しい方ですし、アラバジエフ・アレクサンドル先生やワトリナ・エレナ博士などの武道家は、神道を含めた日本の歴史・文化を専門に研究しています。この方たちと協力していくことは相互にとって大変有益です。
    準備の際の「武道スポーツ」社との協力は非常に有益でした。特にコソロトフ社長は、この作業に対して高い関心を持っていましたので、彼の援助はありがたいことです。モスクワ代表部の今後の活動を考えれば、「武道スポーツ」とコソロトフ社長との様々な協力を行う意味がある、と私は思います」。
    このシンポジウムについては、雑誌『道場』、インターネット週刊ジャーナル『Japon.ru』 (http://www.japon.ru)、月刊誌「武道館」に報告が掲載された。またそれ以外にも、12月20日の午後3時30分から、VKTテレビの「首都」チャネル『モスクワニュース』のなかで、シンポの時のエイルズ・デイビッドとクラノフ・アレクサンドルのインタビューが放映され、また、1月18日には「スポーツテレビの『龍の道』という番組でも紹介された。

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