神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
日々雑感 :梅田善美理事長

SHINTO三題噺

    今年一月、インターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)ニューヨーク・センターのスタッフ人事の異動にともない、引き継ぎや関係先へのあいさつ回りに、ニューヨークに出張した。その際「SHINTO」にかかわる思いがけない三つの出会いがあった。
    始まりはラジオだった。私は毎晩NHKのラジオ深夜便を聞きながら眠るのだが、正月三日の早朝、ニューヨークからのレポートが聞こえた。アナウンサーが、「ニューヨークの元旦はどうですか」との問いにたいして、民間人レポーターが「ニューヨークには大勢の日本人が住んでいるのだが、やはり元日には初詣がしたい。これまでは、こちらにあるお寺などにおまいりしていたが、ことしは、インターナショナル・シントウ・ファウンデーションがミッドタウンのアパートの二十階に設けている神社で、シントウ式のお参りができ、清々しい気分になった。大勢の人が初詣に訪れていましたよ」と報告した。思いがけなくISFのことが話題になって、うれしかった。あとで聞くと、正月三が日にニューヨーク・センターを初詣に訪れたのは百八十人を数えたという。実は、ISFセンターにお祀りしてあるのは神社ではなく、八足案に神棚なのだが、一般人には神社とみえたのであろう。
    次は、ニューヨークのJFK国際空港に着いて、入国審査を受けたときのこと。イミグレーションと関税の書類を提出してパスポートにスタンプを押してもらうわけだが、ここでは必ず、アメリカ入国の目的と滞在期間を聞かれる。私が、国連NGOであるISFの業務のため、約二週間滞在する、と答えると、審査官が「ふうん、シントウか。日本のインディジェナス・レリジョンだね。私は日本に行ったとき、シントウ・シュラインをたずねたよ。みんなが手を叩いて頭をさげていた。あれは、どんな意味があるのかね」と問いかけてきた。簡単に説明すると、審査官は、次々とシントウのことを尋ねる。うしろには次の審査を待つ人々の列ができていて、気がかりだったが、通してもらうためには、答えるしかない。数分間ではあったが、審査官は「今日は良い勉強ができた」とよろこんでスタンプを押してくれた。
    三度目の正直は、空港からタクシーでホテルに着いて、チェックインのときだった。ISFの法人カードを見せると、係員が「シントウ・ファウンデーション? あのマーシャル・アート(武道)のコアーであるシントウと関係があるのか」と尋ねる。「なにかマーシャル・アートを稽古しているのか」と聞くと「アイキドウ」という。そこでまたチェックインまでの数分間、シントウとブシドウ、ことに合気道創始者と神道とのかかわりを説明することになった。
    平成八年以来約十年、インターナショナル・シントウ・ファウンデーションがニューヨークにおいてさまざまな形で行っている神道文化啓蒙活動が、少しずつ広がっているかと思うと、まことに心強い。


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