神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
インターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)
ニューヨークで多彩に活動


    ニューヨークを本部とするインターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)は、国連NGOとしての活動と日本文化の紹介の一端として神道祭典の斎行の二本立てで、広く活動を進めている。本年も、乾光孝ISF主任のもと、活発に展開している最近の活動の一端を紹介する。

●ニューヨークで日本語による神道文化入門講座

     ISFセンターでは、以前から要望されていた日本語での神道講座が、やっと実現の運びとなり、9月12日に、第1回「日本語による神道文化入門講座」を、ISFセンターで開講した。
     講師には、金光教泉尾教会執行・ISF常任理事で、日本初の宗教シンクタンク「レルネット」を開設された三宅善信師をお招きした。講題は、「日本人の宗教観―文字化けした歴史を読み解く―」で、10名の聴講があった。
     三宅師は、日本の家屋の扉は外側に向かって開く形が多く、西洋の扉は内側に向かって開く場合が多い。このことは玄関で靴を脱ぐ習慣があるかどうかに関わり、今でも日本では、靴を脱いだ後に話すことは内輪の話、靴を履いたままでの話はパブリックなもの、という身近な例から紹介され、「くにのかたち」について日蓮上人が著した『立正安国論』を例にあげて、日蓮が国という字を、統治機構(State)、土地(Land)、民(Nation)という三種類の字で書き、意識的に使い分けていることが読み取れることを紹介。そして日本という国名には、統治機構名や民族名などがついていない大変珍しいものであるという。そのように日本と他国を比較しないことには、日本というものを理解出来ないし、ひいては日本人の宗教観も理解出来ないなど、大変興味深いものであった。
     第2回は、日本では勤労感謝の日、また新嘗祭の日にあたる11月23日に「お神酒とお酒」のテーマで開講し14名の聴講があった。講師は、NYセンターの乾光孝主任。
     この講座には、NYのボンセック社による岡山の地酒「登龍」の提供、また祭壇には、カリフォルニア米の新米とともに神酒が供えられた。
     乾主任は、昔から「お神酒あがらぬ神はなし」と言われるとおり、神道とお神酒は密接な関りがあり、『古事記』にも八俣の大蛇の段に「八塩折の酒」という記述があることなどを紹介、その後、日本史に沿ってお酒がいかに関わってきたか、卯の日と酉の日を大事にする杜氏の習慣の意味などを紹介。また伊勢の神宮における、神嘗祭、古来行われてた相嘗祭、そして新嘗祭の解説を行い、お酒にゆかりのある神社として奈良県の大神神社、京都府の松尾大社を紹介し、縁起を説明、最後にお酒の語源などを紹介した。
     その後、岡山の地酒「登龍」の造り酒屋で育った体験をNY在住の森岡洋子氏が、蔵には幾つかの重要な場所に神棚がお祀りされており、日本酒製造と祈りが密接に関わっていることなどを、実体験を元に紹介された。最後に岡山の地酒「登龍」のお神酒を参加者一同で拝戴し、新穀の恵みに感謝した。参加者からは「お酒に対する見方が180度変わった」「ただ日本酒を飲んでいるのではなく、大事なお米を頂戴しているということに気づいた」等々の好印象が聞かれた。
     この講座は月に一度の開催を予定し、12月は「祝詞と日本語」、1月は通過儀礼について、講話が行われる。

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