神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道最前線 : 鎌田東二(京都造形芸術大学教授)

自然学と人間学の背景に 聖地・怪異・呪術……
そして日本的な霊性の考察へ


 現在、大学で教える講座は「宗教と社会」「生命論」「国際社会論」「民俗学」「哲学」「環境文化論」「地域文化演習」。バラエティに富むが、人間が生きているということと「霊」「魂」との関わりを見つめてきた鎌田哲学≠フ主題を内に孕んだ科目群だと想像できる。
 芸術を学ぶ学生にとって民俗学や宗教学が必須であることは改めて強調する必要はないだろう。
「混沌の中から成果が生まれる、クリエイティブな面白さがこの大学にはありますよ」
 多彩な教授陣によって「摩訶不思議アートツーリズム学会」なるものが発足するという。聖地・異界への感応とアートによる具現化を、古都ならではの視点で真面目に問うていく。もちろん中核メンバーの一人に加わっている。

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 奇しくも東京では「妖怪研究会」(東京財団主宰)が立ち上がった。こちらでは座長を務める。世に知られる作家、文学研究家、民俗・神話学者、画家など多士済々が顔を揃える。「日本人のイマジネーションや表現の世界という観点。あるいは怨念の問題。それに神々の世界の一つとしての自然現象。たとえば雷とか大鯰とか……。怪異的な世界についてキチンと取り組んでおく必要があります」

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 「神学と自然学と人間学という観点をずっと考えてきた」という。これらがバラバラな存在ではなく、混沌としながら密接に絡み合っているということは、多くの論文と著書が教えてくれるところだ。
 現代社会に引き起こされる事件の背景にある魔的なもの。「それを現代人がどう自覚・意識化し、どう捉えるか。呪術的な世界とは何か。真面目に考えるのは大事なことですよ」
 そしてそれは、日本的な霊性の考察へとつながる。「鈴木大拙の捉えた日本的霊性論は参考になると同時に、神道や平田篤胤の国学への理解が狭く、単純な決めつけがあります」
 一連の研究と考察は、学問に入った当初から取り組んできたテーマに対する再考、考察の深化であり、近著『神道のスピリチュアリティ』『呪殺・魔境論』『霊性の文学誌』においても大いに論じたところのものである。
ほかにも、捉え方や継承のあり方の点で岐路に立つ「聖地」、あるいは未来も見つめて意義を捉え直した「神仏習合」――などの課題にも取りかかっている。


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