神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
インターナショナル・シントウ・ファウンデーション
ニューヨーク便り

高校生11名がセンターを訪問

  2009年4月23日、マンハッタンにあるウエストサイド高校の学生11名がセンターを訪問した。これは、同校で日本文化の授業を担当しているレン・ミルズ先生より、生徒達が神職と触れ合う事で日本文化の根底にある神道を理解出来る助けになればとの依頼があり、実現したもの。
   中西オフィサーが神道について簡単に紹介した後、生徒達と質疑応答を行った。はじめは「神道と仏教はどう違うのか」などの基本的な質問が多かったが、そのうち「神主には食事の制限はあるのか」「神職でも恋愛や結婚できるのか」などの突っ込んだ質問もあり、中西オフィサーは苦戦しつつも答えていた。また生徒からの要望で中西オフィサーが生徒達全員の名前をカタカナで墨書し、最後にそれを持って記念撮影をし、なごやかな訪問となった。

コロンビア大学で陰陽道シンポジウム

  5月1日から3日まで、コロンビア大学日本宗教研究所主催による陰陽道のシンポジウムが開催され、中西オフィサーが出席した。
   初日はISFがスポンサーとなっているコロンビア大学神道講座担当のマイケル・コモ先生が、仏教と神道が融合した日本独自の宗教環境で生まれた陰陽道の意義につい基調講演をした。また、日米の研究機関を中心に14名の研究者による研究発表があり、神道国際学会理事であるベルナール・フォール教授も、陰陽道において方位の吉凶を司る八将神の一体である「大将軍」についての発表を行った。マーク・テーウェン理事も参加した。
   同研究所で事務局を担当している青木健さんによると、このシンポジウムは仏教学が主流を占めるアメリカでの日本宗教研究において、仏教以外の宗教研究も盛んにしようとの試みで始まったとのことで、一昨年の神道、昨年の修験道に続き今回の陰陽道が3回目ということである。
   アメリカにおける神道研究はまだまだ支流であるのが現状で、中西オフィサーは「アメリカにおける神道研究の振興に、ISFも出来る限り尽力したい」と述べている。

国際シンポジウム 「東アジアの文化遺産― その普遍性と独自性―」

   5月9日・10日の両日、コロンビア大学バーナードカレッジで国際シンポジウム「東アジアの文化遺産―その普遍性と独自性―」が開催され、ISFからは梅田善美理事長の他、中西オフィサー、林原事務主任の両名が出席した。
   このシンポジウムは、現在、コロンビア大学バーナードカレッジの客員教授である浙江工商大学の王勇教授(神道国際学会理事)が旗振り役となり開催されたもので、ISFも協賛した。開会式では梅田善美理事長が挨拶、歓迎レセプションでは司会役をつとめた。
   シンポジウムでは、アメリカやアジア諸国を中心に世界7カ国から参加した研究者が言語・仏教・典籍・感性という四つのパネルに分かれ、それぞれの立場から東アジアの文化遺産に関する研究発表を行った。王勇教授も、「鑑真和上と舎利信仰」と題して発表した。
   シンポジウム後には王勇教授主催の慰労会が開かれ、ISFも梅田善美理事長、中西オフィサーが招かれ、海外の研究者との交流を深めた。

ジャパンデー開催

 5月31日には、セントラルパークで恒例のジャパンデーが開催された。このイベントはNYの日本企業と在NY日本総領事館の協賛によるもので、音楽、伝統芸、食、ゲームなど、日本文化を幅広く紹介する祭りである。
 当日は天候にも恵まれ、セントラルパークのみずみずしい緑のなか、早朝からイベントを見ようとあつまった人々やマラソン参加者など大勢の人でにぎわった。
 日本の伝統文化の一つとして、エネルギッシュな担ぎ手たちによってセントラルパークを巡回する御神輿は人気が高い。ISFはその御神輿に神様を御遷しする神幸祭、ならびにジャパンデーの無事催行を祈って安全祈願祭を執行。帰国中の中西オフィサーにかわり、おりしもNYを訪問中だった元ISFオフィサーの太田垣亘世が斎主をつとめた。祭儀には巫女による神楽も奉納され、参列者や観客者の注目を集めた。
 この御神輿は10年ほど前に、日本文化を紹介しようとある日本人の方が個人的に持ってこられたもの。今年は担ぎ手代表者の地元から、祭り半纏が百枚贈呈され、お祭ムードが一層高まった。


メリーランド大学生たち11人、神社訪問に感銘

 アメリカ合衆国の首都ワシントンDCに隣接するメリーランド州の州立メリーランド大学には「アジア系アメリカ人研究学科(AAST)」というユニークなプログラムがある。学部生の単位履修選択科目のひとつで、アジア系・太平洋地域系アメリカ人の歴史や社会や経験などを学際的アプローチによって学ぶ。学科長は日系三世でアメリカ史が専門の品川ラリー・ハジメ博士。   
   ISF(インターナショナル・シントウ・ファウンデーション)は昨年末にこのAASTとご縁ができ、神道文化紹介プログラムを同学科に導入するためのお手伝いをすることになった。
   そのさきがけとして、今年の4月にはワシントンDCを訪問された鶴岡八幡宮の吉田茂穂宮司に同学科の学生たち数10名に「日本文化の基層をなす神道」と題する講演をしていただいた。(本紙5月15日号ISF便りに既報)
   これがきっかけとなり、AASTが今年5月下旬から6月初旬にかけて品川教授が引率して実施した日本研修旅行スケジュールには、神社訪問が加えられた。広島では原爆ドームや原爆資料館、平和公園の訪問のほかに厳島神社に参拝。東京では上智大学での交流のほか、ISFの紹介で亀戸天神社に正式参拝し、また宿舎近くの須賀神社の夏祭りも見学。そして鎌倉の鶴岡八幡宮を訪問して吉田宮司と再会した。
   メリーランド大学のシンボルは「亀」である。東京での旅程の中で、亀に縁のある神社として亀戸天神社訪問が選ばれた。
   6月6日の土曜日、AAST一行11名は梅田理事長の案内で、亀戸天神社ご本殿での「学業成就祈願」に参列。祈願祝詞では一行は自分たち一人ひとりの名前が呼びあげられて、感激の面持ちであった。神苑内の散策の後、老舗の割烹で有名な亀戸大根とあさりの料理を賞味。つづいて、亀戸天神社のお祭りで茶道奉仕されている裏千家茶道の矢崎宗江師範宅の茶室で、茶道の実体験をした。好奇心あふれる学生たちは、足のしびれもなんのその、矢崎師範のお勧めに、われも我もと茶筅を使ってのお点前に挑戦していた。
   翌日、一行は鎌倉におもむき、鶴岡八幡宮のスタッフの案内で鎌倉市内を見学し、八幡宮に正式参拝して、日本研修の最後を飾った。学生たちは6月10日、充実した研修旅行を終えて、ワシントンへの帰路についた。
   学科長の品川教授とマネージャーのリン・チアオ女史は、吉田宮司の勧めに応え、帰国旅程を延ばし、6月13日に行われた鶴岡八幡宮の蛍放生祭に参列した。厳かな神道儀礼と暗闇の放生池に放たれた蛍の幽玄な光のページェントに、二人は神道における自然の尊重と畏敬を感じ取り、心にしみる経験だったと話していた。



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