神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道展示館訪問 : 常磐神社義烈館

慈愛と大義の藩政――
光圀・斉昭両公の遺徳・遺業を景仰し

 当館名称「義烈」は常磐神社の御祭神二柱である義公と烈公、つまり水戸藩第2代藩主・徳川光圀公ならびに第9代藩主・徳川斉昭公の諡(おくりな)から名付けられたもの。さらに言えば義烈は、正義の心にあつい様相を表現した言葉であることも思い起こされるところだ。
その諡のとおり両公は、藩・幕政において諸策を推進し、領民を領導した名君として、水戸では現在でも大いに慕われている。
 光圀公は徳川家康公の孫にあたり、ご存知、水戸の「黄門さま」として名高い。領民に慈愛の政治を行ない、道義国家の実現を図った。彰考館という史局を設け『大日本史』を編纂したことでも知られ、大義を明らかにし、人心を正すことにも余念がなかった。
 斉昭公は内憂外患の幕末に藩政を継いだ。教育・海防・農政にと刷新的な事業を展開し、幕政にも参画して時局打開に挺身した。藩校・弘道館を開いて人材育成に力を尽くし、水戸学の興隆を実らせた。この水戸の思想が明治維新への原動力の一つになったともいわれる。日本三名園の一つ、偕楽園を造園したことでも知られる。



   こうした義烈両公の遺徳を景仰するため、昭和33年に開設されたのが義烈館。両公に関わりの深い遺品や遺墨はもちろん、家臣や関係者らの書画や諸資料も展示している。
   館内に入るとすぐ、西山荘に隠居した光圀ご老公の木像が出迎えてくれる。「水戸藩の成立」「常磐神社の歴史」「義公の時代」「烈公の時代」と続き、烈公の追鳥狩に鳴らされた日本一ともいわれる大陣太鼓、藤田幽谷・東湖、武田耕雲斎ら水戸学者・藩士らの墨書も並ぶ。
   『大日本史』草稿、402巻が貫禄をもって積まれている。あの助さん格さんのモデル、佐々介三郎と安積覺兵衛も彰考館の史臣、やがて総裁となり、『大日本史』の編纂に従事したのである。
   「国を治むるは仁に依れ」(義公訓)。「行末もふみなたがへそ蜻島(あきつしま)大和の道ぞ要なりける」(烈公和歌)。仁慈と本義で生涯を貫いた両公の清廉な精神性が展示の一つひとつに漂う。

▼住所=水戸市常磐町1-3-1
▼電話=029(221)0748
▼開館時間=9時から16時
▼入館料=大人300円、小中生=100円

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