神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

御本殿や御神宝などを特別公開 本殿遷座を前に
石清水八幡宮

 「平成の大修造」を進めてきた京都府八幡市の石清水八幡宮で、大神様に本殿にお戻りいただく正遷座を間近に控えた3月14日から4月12日までの約1カ月間、「御本殿・御神宝ほか未公開の文化財特別拝観」が催された。4月下旬に竣功された本殿遷座のあとは今後なかなか目にすることのできない御神宝や、八幡造の本殿周囲の細部などが公開された。期間中、多くの参拝者が拝観し、神職による懇切な解説を聞きながら、興味深そうに見入っていた。
 今回、公開されたのは、御神宝では三祭神の御太刀や御弓、御鏑矢・蟇目鏑、繭を溶く八角火鉢、金銅製の御幡など。ほかにも藤原行成の筆跡を書写したとされる豊臣秀頼奉納の「八幡宮」古額、寛永年間の京都所司代である板倉重宗が寄進した太鼓などが本殿前の幣殿、舞殿に陳列された。
 また、丹漆塗の社殿の様子や、そこに施された彩色の欄間彫刻、本殿の内・外殿の間に架かる織田信長寄進の「黄金の樋」、三神それぞれの御帳台と椅子および絹囲いなども目の当たりで見学できるようにされた。
    各所にある御神紋の一つ「巴紋」のうち、通常の左流れのなかに混じって右流れがあることについて神職は、「すべてが正しく完成して頂点に達すると、あとは降るだけになるという思想に基づいている。わざと間違えておいて『これからもっと良くするんだ』という向上心を示しているのです」と説明。また、徳川家康を祀る日光東照宮の建築と様相が似ている点については「将軍家光のときの造営で当八幡宮が完成後、その建築技術としきたりを持った技術者の一部が日光に移り、東照宮の造営に着手したからともされています」などと分かりやすい解説に努め、やわたのはちまんさん≠よりいっそう身近に崇敬してもらおうとの趣旨に意を尽くしていた。

元NHKアナで神職の
宮田氏が講演

 宗教新聞社と「にっぽん文明研究所」が共催する講演会が3月5日、東京・渋谷の國學院大・院友会館で開かれ、元NHKアナウンサーで千葉県長南町・熊野神社宮司の宮田修氏が「NHKアナウンサーの『日本』再発見」と題して話した。「にっぽん文明研究所」代表の奈良泰秀氏がコメンテーターを、宗教新聞社・副編集長の畠山憲太郎氏が司会を務めた。
   宮田氏は平成7年1月の阪神淡路大震災時の勤務地が大阪放送局。震災発生の第一報から一貫して的確・冷静に視聴者へ情報を報道したことで知られる。
    講演で宮田氏はアナウンサーとして在職しつつ、やがて宮司を務めるために神職資格を取得することになった経緯を話し、また「日本」の良さを人々に伝えようと意を注いでいる現在の自身を語った。
   同氏は、日本人がずっと大切にしてきた生き方の視座として、共同体による暮らし、祖先への敬い、自然への認識――の3点を挙げ、そうした伝統的な暮らしのあり方に沿って生きるところにこそ無理のない安楽な人生があると指摘した。そして「たかだか戦後の70年で、結婚にしても『親が決める』から『自分で決める』、そして『結婚なんかしない』と変わってしまった。昔の生き方がすべてとは思わない。民主主義も、個人主義もいいでしょう。でも昔の日本人が考えていた素晴らしいところに目を向けることも大事だと思う」と話し、神道の祈りを含めて次世代に継ぐべき生き方を今後も「言挙げ」していく思いを吐露した。
    なお、今回の講演では途中、神戸市・有馬温泉の守護神として知られる湯泉神社の宮司、別所敬介氏も登壇。阪神淡路大震災のときの被災体験から危機に直面したとき自然に湧き上がった日本人の協力、共助の心と行動の尊さなどについて話しをした。



10 周年記念の交流会
6 月に真清田神社で
一の宮巡拝会

    設立10周年を迎えた「一の宮巡拝会」は6月20、21両日、記念の全国交流会「尾張一の宮シンポジウム&一の宮巡拝会結成10周年」を愛知県一宮市の真清田神社などを会場に開催する。
   今回の交流会のテーマは「神さまって何?―もっと身近に神さまを―」。同会事務局はテーマ設定に関連して、「暗いニュースが次々と報道され、我々庶民の気持ちも塞ぎがち。経済一辺倒の現代社会だが、100年後の日本を考慮に入れた我々の生き方を考えていきたい」としている。
    初日は神社参拝と記念懇親会で、移動は観光バス。正午、名古屋駅西口(新幹線口)に集合し、午後12時半、出発。同一時から2時半まで名古屋市の熱田神宮を正式参拝。続いて愛知県小牧市の田県神社と大県神社を社頭参拝。同5時半、懇親会会場・宿泊地となる愛知県犬山市の犬山温泉・迎帆楼に着。同6時半から記念懇親会。
 2日目が尾張一の宮シンポジウム。午前9時半、迎帆楼出発。観光バスで会場となる愛知県一宮市の真清田神社へ。午後1時から第1部。総合研究大学院大学の池内了教授が「物理学と神」と題して講演する。第2部は同3時から4時半まで、パネルディスカッションが行なわれる。パネリストは池内氏、真清田神社宮司の飯田清春氏、一の宮巡拝会顧問の齋藤盛之氏、英語教師で巡拝会世話人のダスティン・キッド氏。司会進行は巡拝会の代表世話人、関口行弘氏。同5時に解散。
    参加費は初日が23000円(1泊・2食付)。2日目のシンポは無料だが聴講券の申し込みが必要。詳細の問い合わせは「一の宮巡拝会」本部事務局=電話072(791)5158。


Copyright(C) 2008 SKG all rights reserved
当ウェブサイト内の文章および画像の無断使用・転載を禁止します。