神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
伊勢本街道を歩く (8)  神末
吉井貞俊氏
(西宮文化協会会長)

 神末へ来るまでに土屋原のまつや旅館で一泊した。この宿は街道の中で今やただ一軒だけ營む貴重な存在。毎年実験的伊勢参りと称して歩きの旅を行っている奈良大學鎌田ゼミの根拠地となっており、昔風に作られた奈良大學宝茉講の額が飾られてある。私は初回このまつやでなく当時掛のムラにて開業していた宿に泊ったが、その翌朝、家人は皆、外に出払います、どうぞごゆっくり出立して下さいと私一人置いていった、その悠長さに感服したが、この様な家にもテレビは強盗事件のニュースを流していた。すがすがしいという事から命名されたという菅野を過ぎて行き着いた神末のムラ、ここが伊勢本街道の中間点になる所であり、村名のもとになった御杖神社が鎮まっている。お宮の森を川上にして右に東禪寺、左に太神宮灯篭と全く桃源郷のような所であり、ムラの中で誰方に聞いても、ここは昔伊勢街道の中心でしたという答えが返って来るのも気持ちのよいことであった。             

(絵・文とも吉井貞俊:絵は本誌に掲載)

 本会会員吉井貞俊氏は現在、兵庫県西宮市に在住し、西宮文化協会会長をしているが、もともと伊勢の出身で、猿田彦神社の社家である宇治土公家に出生した方。氏はその因縁をもって、昭和48年の第60回正遷宮の際、大阪から伊勢まで伊勢参宮本街道を踏破し、さらに平成5年の61回の時にも同じ道筋を歩いたと聞いている。
 そして現在、次回の正遷宮を目ざして、3回目の本街道歩きを始めたとのこと。

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