神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

理事短信

地域の伝統文化存続へ「要望書」
国の支援事業に精力的に働きかけ
茂木栄理事

   「平成の大合併」にともなう地方自治体の行財政効率化のために、地域の祭祀、芸能など、伝統ある民俗文化の存続が危ぶまれることから、昨夏、民俗文化財などに関連する六学会が共同で、財政的、行政的な地域支援の拡充を望む「要望書」を各方面に提出した。国務大臣、国会議員をはじめ、都道府県知事・教育長、マスコミなど宛てに計約4千通を送った。
   茂木栄理事は社叢学会を代表するかたちで当初よりこの「要望書」活動に関わり、その後、事務局代表の小島美子・国立歴史民俗博物館名誉教授らとともに総務省自治行政局長と面会するなどしていたが、このほど、ここ10年ほどで合併した市町村を対象に、住民組織等による地域活性化事業に対して市町村が補助する経費の100%を国が助成する「合併市町村住民組織活性化支援事業」が動き出すという一つの成果をみた。
   茂木理事はかねてより「地域の伝統文化を支えるのは地域の人たちの信仰や心である」として、その点にも視点を当てながらの施策がベストだとしているが、今回の対象事業にはひとまず、「伝統芸能等の継承・発展を通じた事業」が盛り込まれており、一歩前進したかたちだ。「とくに核になる都市の周辺部にあって吸収合併された旧・市町村の民俗文化の危機が深刻で心配なんです」と茂木理事は話し、各方面での伝統文化の継承への意識が高まっていくことを切望している。


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九州の「修験道」研究書
今年半ばに刊行
アラン・グラパール副会長


   九州の英彦山・宇佐八幡宮・国東半島の修験道について論究したアラン・グラパール理事(副会長)の新著が今年の半ばに、アメリカ・スタンフォード大学から刊行される。「3つの地域はそれぞれに近いけれど内容が全然違っており、興味深いのです」と同理事。
    また来年中には、神饌と仏供に関する研究書の刊行を実現すべく、執筆に精を出している。こちらについては、「日本の宗教文化の観点からみる。神饌や仏供は日本文化の美意識でもある。毎日お供えものをする……。神も仏も、死んでからも食いしん坊なんですね」


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