神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
新任理事紹介

 岩 澤 知 子 理 事
(麗澤大学大学院国際経済研究科常勤講師)

 京都・八坂神社へ参拝し、おみくじを引いたら「〈待人〉御神縁あり」。帰京して自宅のメールを開くと理事就任への推薦メッセージが届いていた。
 「これこそが御神縁。先輩役員の皆様からたくさん学ばせていただきながら、今後とも一層、研鑽に励みたい」。役員のなかでも若手層の一人としての就任となった。

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 神話を手がかりとして東西の文明や諸宗教に内在する世界観、人間観、自然観を掘り下げ、これからの人類が力強く生存していくための思想と術を探ってきた。「現代社会をみると、全体として生命力が枯渇してきている。生きる力≠どう揺り動かすか。人類の大きな課題です」
 その点で、神道という思想の果たす役割は小さくないとみている。「神道が日本の枠を超えて、人類の普遍共通的な価値として世界にどう知られていくか。このテーマは今後、大きな論点になると思う」と見通す。
 人間精神の古層にある古い宗教意識が神道には生き続けていると、常々、感じてきた。「日本神話にみえる〈ムスビ〉や〈タマフリ〉の概念は、生命力の源を力強く語っている。神道の祭りや儀式、神社の空間、そして日本人の日常の端々には、この神話の心が見事に息づいているのです」
 日本文化の知恵を外の世界へ、いかに発信していくか。「『神道は言挙げせず』と言うように、すべてを語り尽くせるわけではないけれど、発信に努めないとコミュニケーションの放棄になってしまう。アメリカの日本研究者の中には、神道とは明治以降の国家神道政策によって生み出された政治的虚構であると主張し、古代から脈々と受け継がれた宗教伝統としての神道の存在を否定する人々もいます。我々日本人自身が、神道とは何かを改めて問い直し、積極的に言語化(英語化)していく必要性を強く感じます」

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 比較文明論、比較神話論、宗教哲学が専門。大阪大学人間科学部を卒業後、アメリカ・ボストン大学大学院で哲学を学び、博士課程では宗教哲学を専攻した。同大学宗教学部のティーチング・フェローを経て帰国。敬愛大学などの講師を務め、平成20年から現職。今年4月からは、麗澤大学外国語学部准教授として比較文明論を担当する。

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 本紙既報の通り、昨年暮れに開かれた本会理事会で平成21年度からの新役員が決まりました。うち新たに就任いただいた理事は4人の先生方です。新任理事を順不同でご紹介していきます。
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