神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道展示館訪問 : 日枝神社宝物殿

江戸城総鎮守の御神宝
国宝『太刀 銘 則宗』はじめ
歴代将軍奉納の刀剣等を展示

  日枝神社は江戸郷の守護神として江戸氏が山王宮を祀ったのにはじまる。その後、文明10年(1478)に太田道灌が江戸城築城にあたり江戸の守護神として勧請し、さらには徳川家康の江戸入城以降は江戸市中や江戸城の総鎮守、徳川家の産土神として歴代の徳川将軍が篤い崇敬を寄せた。
   日枝神社宝物殿は、大田道灌の江戸入城より500年目、すなわち御鎮座500年を記念して境内整備事業の一環として昭和54年(1979)に開館した。
  収蔵品としては、まず徳川幕府の三代将軍家光の第四子徳松(五代将軍綱吉)の初宮詣の際に奉納された国宝「太刀 銘 則宗」をはじめ、歴代の徳川将軍が参拝の折に御神前に奉納した重要文化財14振を含む計31振の刀剣が挙げられる。2ヵ月に一度、展示入替えを行っているため、1年で全刀剣の拝観が可能である。
  また日枝神社が徳川幕府の直轄神社だったため、初代家康以降、歴代の将軍が朱印状をもって神領を寄進し、当社の維持運営に寄与された。六代家宣、七代家継及び十五代慶喜のそれを除いて12通が現存し、初代家康から三代家光までの朱印状が展示されている。
  そのほかにも当社の例祭にあたる山王祭の山車人形(神功皇后像・武内宿禰像)、獅子頭や御火燈といった社宝、江戸時代中期の画家である英一蝶の屏風絵「日吉社参詣絵図」、幕末から明治初期の浮世絵師である楊洲周延が当時の山王祭を描いた「千代田御表山王祭礼上覧」等の絵画類、更には明治以降の官幣社列格に関する資料等も公開されている。江戸開府より現在の東京に至るまで首府と共に歩んできた日枝神社の歴史を知るにはふさわしい。


▼所在地=東京都千代田区永田町2丁目10番5号
▼電話=03-3581-2471
▼拝観時間=火・金以外の午前10時から午後4時まで
▼拝観料=無料

Copyright(C) 2007 SKG all rights reserved
当ウェブサイト内の文章および画像の無断使用・転載を禁止します。