神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
日々雑感 :梅田善美理事長


コピペ版神道論文はいかが?

 今や、読書の秋に限らず一年じゅう読みたい書籍はインターネットのオンラインで通販サイトに注文する時代となったようだ。私も大手の通販サイトAMAZONを便利に利用している。書店に注文するより早く入手できるし、ある程度の金額を越えると送料もかからない。店舗をかまえる書店には強力なライバルだろう。
 アマゾンに「神道」や「古文書」系統の書籍注文クライアントとして記録されているようなので、同社からはその方面に関係ある新刊書のお知らせメールが頻繁に送られて来る。それを見ると、神道関係も近ごろは研究者による学術書から一般向けの入門書まで、幅広く出版されているのがわかる。
 洋書の検索サイトでも「SHINTO」と入れてみると、かなりの数の、主に英語の神道研究書や紹介書籍のタイトルが出てくる。それにこのごろは、ホームページを作っている神社も数多くあり、アクセスしてみると英語で紹介しているところも多い。
 神道国際学会には海外から、「神道をテーマにした論文を書きたいので、適当な文献や書籍を紹介してほしい」とか「比較宗教学で神道をとりあげたいので、次の質問に答えてほしい」などという問い合わせのメールが多く送られて来る。それらにはできるだけ丁寧に回答するよう努力しているし、テーマによっては、それらを検索できる書籍や英語のページをもつ神社のホームページなどを紹介している。
 いま、世界中で「コピペ」(コピー・アンド・ペースト)で論文を作成する風潮が蔓延し、論文を審査する教授連は頭を抱えているそうだ。それに最近では、コピペも次第に市民権を得てきて、大目にみられることも多くなった。引用フリーの文献類も多いので、それをコピーして自分の著作にペーストする作業は、盗作や剽窃などには当たらないのではないか、と考えられているのだ。
 前述の問合せに対するこちらの回答に、感謝の返信が来ることはめったにないし、こんな論文を書いたというようなフィードバックもないが、メールで問い合わせてきた海外の学生たちも、私が紹介したホームページなどをコピペに活用していて、案外、コピペ版の神道論文があちこちで作成されているかもしれない。神道国際学会では毎年、英語・中国語・ロシア語で、神道に関する論文コンペティションを行っているが、その審査にもコピペが乱用されていないか、目を光らせねばならない時代になった。

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