神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道展示館訪問 : 白山比盗_社宝物館

名剣の数々
国宝『吉光』や
重文『神皇正統記』白山本を収蔵

 富士山、立山とともに日本三名山(霊山)に数えられる白山。最高峰の御前峰・別山・大汝峰の白山三峰を中心とする美しくも気高い山容は神気が漂い、太古から清らかな白き女神の住まう霊峰として崇められた。霊峰白山を神体山として、白山比淘蜷_(菊理媛神/くくりひめのかみ)・伊弉諾尊・伊弉冉尊の三柱をまつる白山本宮は、崇神天皇の時代に創建された。
 養老元年(717)、越の大徳≠ニ仰がれた泰澄大師の登拝によって白山が開山された。天長9年(832)には、山麓に三馬場(加賀・越前・美濃)と呼ばれる信仰拠点が形成され、各禅定道が定められたことで、神仏習合の白山信仰が全国的に広まった。
    白山三馬場の中で、加賀馬場の白山本宮は平安末期「白山衆徒三千を数う」とまで言わしめた一大宗教政治勢力を形成し、安元3年(1177)に起きた強訴の模様は『平家物語』にも描かれるほど勢威をきわめた。同社の宝物館は、加賀馬場#虫R本宮の隆盛を今に伝える。
 国宝の剣「吉光」は日本刀剣史上、最も著名である吉光の特徴をよく備えており、稀に見る名剣との定評がある。剣の伝来は、徳川家光の養女・清泰院が加賀藩主に嫁した持参品で、明暦3年(1657)に、清泰院の子・五代藩主綱紀が、母の冥福を祈って白山比盗_社へ奉納したもの。同宝物館は、多くの名剣を所蔵するのも特色の一つ。
 重文関連で目を引くのは、南北朝時代の北畠親房が南朝の正当性を記した『神皇正統記』で、同社が所蔵する白山本が現存する最古の写本。重文では他に「木造狛犬一対」「牡丹文螺鈿鞍」「絹本著色白山三社神像」などがあり、神仏習合を含む裾野の広い白山信仰の歴史を伝える多彩な宝物の数々を拝観できる。

▼団体での拝観は要予約
▼300円/高校生以下無料
▼石川県白山市三宮町2 105-1
▼電話 076-272-0680


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