神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道国際学会たより


イワクラ(磐座)学会がフォーラム開催
大阪で「聖地とイワクラ」テーマに 神道国際学会も後援


 多面的なアプローチで巨石を研究する人々の集まりであるイワクラ(磐座)学会(渡辺豊和会長、事務局=大阪市北区)は5月31日、大阪市の大阪歴史博物館で「イワクラフォーラム2008」を開催した。後援は大阪府・大阪市・神道国際学会・国際縄文学協会・社叢学会。同会は4年前の創立以来、イワクラをめぐる様々なテーマによるフォーラムやサミットを各地で実施しており、今回は「聖地とイワクラ」の視点で国内外のイワクラの意義に迫った。
 基調講演では、宗教人類学者の植島啓司氏が「なぜ、人は聖地をめざすのか」と題して約30年にわたる調査で800カ所以上に及ぶ世界各地の聖地を訪れた研究成果に基づき、聖地の特徴を9つに分類。その一例として、多数の異なる宗教が共通の一枚岩を聖地にしてきたエルサレム(岩のドーム)を引きながら、「聖地はわずか1センチたりとも場所を移動しない」との見方を示した。場所のもつ特別な力についても、熊野周辺などでまつられているイワクラの映像を交えながら説明した。
 次いでブック・デザイナーの山田英春氏が「イギリス、アイルランドの巨石遺構について」と題して、紀元前四千年頃から二千年頃までに集中的に建てられたイギリスやアイルランドに残るストーンサークルなど巨石の構築物を写真と図から解説した。
 渡辺会長が司会をつとめ、植島氏と山田氏、イワクラ学会顧問で政治評論家の平野貞夫氏の3人がパネラーとなり、イワクラに関する多様な見解を交えた。平野氏は混迷する現代社会の中で、同学会が単なる歴史ロマンを求めるだけでなく混迷する現代社会に新たな使命を果たすことを期待し、イワクラに込められているという「天人合一」のレセプターとしての役割を強調した。
 渡辺会長は幾何学に分布するイワクラがもつネットワーク機能という持論を述べるなど、イワクラと聖地に対する従来の学問的な枠組みを超えて見えてくる新たな研究の可能性を示唆した。
 参加者からは「イワクラ」を世界共通語にしていく方途として、ネット上で英文サイトを作成すべきでは、との意見も出た。
 翌日は現地探訪会を実施し、参加者は大阪城が建つ「石山」はイワクラであるとの推論に基づき、イワクラが現存する大阪城とその周辺にある坐摩神社行宮、豊国神社、玉造稲荷神社、史跡難波宮を巡った。

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