神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
インターナショナル・シントウ・ファウンデーション
ニューヨーク便り

コロンビア大学の神道学講座

 ISFの主な活動のひとつに、日本宗教・日本文化の中核である神道を座標軸とした講座を、海外の有名大学に設立するための基金提供がある。
 米国カリフォルニア州サンタバーバラ校の「神道学講座」、中国浙江大学の「神道と日本文化」講座、ロンドン大学日本宗教研究センター(CSJR)の博士課程コースに続き、2001年、コロンビア大学宗教学部にISF代表の深見東州師により「深見東州神道学講座」が設立された。
 その後、この講座の指導教官にはマイケル・コモ教授が任命され、さらに本年、副学長のニコラスB・ダークス教授の提案により、宗教学部だけではなく東アジア言語文化学部にも拡張することが決定、4月10日に同大学で関係者立会いのもと調印式が行われた。創立250年を超える名門コロンビア大学で、神道が正教授によって指導されることになったわけである。
 また同日、梅田善美理事長が同大学東アジア言語文化学部の日本語学科の教員と学生を対象に、「日本人の一生(儀礼)」、「日本人の一年(年中行事)」をテーマにレクチャーを行い、80名を越す出席者があった。

ワシントンのサクラまつりとオープンハウス

 4月12日、ワシントンDCで行われる毎春恒例の日本紹介ビッグイベント、サクラ祭が開催された。ペンシルバニア大通りにならぶ数多くのブースでさまざまな角度から日本文化を紹介する企業や団体に交じって、ISFもブースを開き、神道についてのパンフレット配布や御守などの説明をして、神道の紹介に努めた。
 多くの人々が足をとめてパンフレットを受け取り、御守りや縁起物についての質問をしたりするなかでも、巫女さんの緋袴姿が大人気。記念に一緒に写真を撮っていかれた方が大勢いた。
 それに先立ち、前日の11日には、ワシントンDC市内のヒューマンライツ・キャンペーン・ファウンデーションを会場として、神道をはじめとする日本文化を紹介する「シントウ・オープンハウス」を開催した。ISFが桜祭りの行事の一環として、このイベントを開くのは今年で2回めになる。
 まず、太田垣ISFオフィサーが神道の紹介として、日本人と西洋人との宗教に対する意識の違いを説明。日本の神社の風景、モダンな街中にそびえる鳥居、家の中に神棚と仏壇が並んでいる光景などの写真を参加者にみせながら、神道がいかに日本社会に自然な形で存在しているかを説明した。最後に、神社や神道に関する簡単なクイズで、正解者には縁起物のだるまを授与し、楽しい雰囲気となった。
 続いてメリーランドで天心一流の武道を教授されている新宅四郎師が、メラニー夫人をはじめとする弟子たちを相手に武道のパフォーマンスをみせた。剣道、合気道、空手などの武術に流れる精神哲学を40年以上も追求されている新宅師は、武道の精神は神道につながると説明。その凛とした姿勢から繰り出される迫力あるパフォーマンスは、参加者の目を惹きつけていた。
 最後に、武井亜希子氏により華道と茶道が紹介された。武井氏は花を生けながら、華道には西洋のフラワーアレンジメントのような華やかさはないが、「天・地・人」の三要素を重要視する素朴さこそ日本の美と説明した。また茶道の紹介では、武井氏の実演にあわせて参加者全員にお茶菓子と抹茶が振舞われ、小さなお子さんも初めての経験ながらも、美味しいと感想を述べていた。
 太田垣オフィサーは、「この2日間でISFが紹介した日本文化は、アメリカ人にとっては異文化であり、普段の生活では接することのないもの。そうした異質なものに対する理解を深め、日常をより素晴らしいものに変えることに繋がればと思う」と述べた。

村上隆展安全祈願祭ブルックリン博物館で

 村上隆氏といえばルイ・ヴィトンとのコラボレーションでカラフルで可愛らしいデザインを手がけたり、日本画、アニメなど作品のカテゴリーも豊富で、幅広い年齢層のファンから支持されている現代芸術家。その村上氏の作品展覧会が四月五日から7月13日までニューヨークのブルックリン・ミュージアムで開催されている。それに先立ち3月17日、同ミュージアムで、ISFによる展覧会安全祈願祭が執り行われた。
 村上隆氏の斬新でポップな作品が並べられたホールで、約50名の参列者が見守るなか、太田垣ISFオフィサーにより、祭儀は明るく華やかな雰囲気で斎行された。世界的に名高い村上隆氏が、日本の伝統を重んじて、展覧会の安全と発展を神道式で祈願されたことは、日本文化と神道の価値が評価されたものといえよう。

神前に響く神秘な音色 5月神道文化入門講座

 5月27日にISFセンターで開催された神道文化入門講座は、特別講師として、民族楽器演奏者の奈良祐之氏とヒーラーダンサーの青柳麻喜氏を迎え、ご神前での奉納演奏となった。
 奈良氏は世界の民族楽器による音楽を日本の福祉施設、教育施設、病院などで頻繁に演奏し、人々と深く交流されておられ、2006年4月公開のドキュメンタリー映画『ガイヤシンフォニー第6番』「虚空の音」の章にも出演されている。
 ご神前での演奏は、スピリット・キャッチャーという弓に似た楽器、大乗仏教やチベット仏教の祭典に使われる鈴、そして奈良氏自身の風のような音を奏でる呼吸で創られた神秘的な音楽で、神様に捧げる神聖な音と踊りには参列者も深く感銘をうけた様子だった。
 その後の質疑応答の時間では、参加者からは、初めて体験した楽器や踊りの表現の意味について、多くの質問が出された。また、太田垣オフィサーが「神道における奉納の意義」として、奉納とは基本的には神様を歓迎し感謝するために捧げられるものであり、食べ物、音楽、芸能、絵画など、幅広く様々な形がある、と説明した。神道における奉納の意義について、実際に紹介する非常に有意義な機会となった。

今年も盛大に開催  「ジャパンデー2008」

 6月1日、ニューヨーク市セントラルパークで「ジャパンデー」が開催された。在NY総領事桜井本篤氏の呼びかけにより昨年から開催されている、物品や食物など広く日本の文化を紹介するビックイベントで、多くの日本企業や日系社会が協賛している。
 当日は天候にも恵まれ、会場のセントラルパークは朝から大勢の人がつめかけ舞台で繰り広げられるパフォーマンスやセントラルパーク内の短距離マラソンでおおいに盛り上がった。
 ISFは、祭の開幕前に、セントラルパーク内を巡回するお神輿に神様をお遷しする神幸祭と、イベントが無事に終了するように安全祈願祭を斎行した。
 太田垣オフィサーは、「最近、日本の、特に地方では、氏子地域内の若者の減少と伝統保持意識の希薄化により、多くの神社が頭を抱えているのが現状だ。でもここでは、若者のみならず、年配者、子供、日本人、アメリカ人などいろんな人が担ぎ手となり、実にエネルギッシュで、地域や国籍を問わぬ老若男女、見知らぬもの同士が協力してお神輿を担ぐという、伝統に縛られない祭りの面白さが感じられた。日本文化の伝統保持に対するちょっとしたヒントが見出せるような気がした」と感想を述べた。


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