神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
日々雑感 :梅田善美理事長


今年は「国際言語年」
神道の立場からできることは?

 国際連合は昨年5月の総会において、2008年を「国際言語年」と宣言し、その主旨を次のように規定している。
   『国連総会は2008年を国際言語年とすることに同意し、国連が、言語と文化の多様性を保護し保存することを目的に多言語主義を追及することを認め、国連の6つの公用語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語)の平等性が最高度に重要であることを強調した。この観点から国連総会は国連事務総長に、全ての言語による業務が平等に扱われること、平等に良好な作業環境と資源が与えられることを要請した。事務総長には同時に、過去の重要な国連の文書がすべて国連の六公用語にて早急にウェブサイトに公表されることを要請された。』(抄訳)
 多様性と平等性を重視するのは大切だが、国連では右記のように公用語が6つあり、主要な会議や記録はそれらの言語で行われている。そのために、通訳や翻訳には膨大な経費がかかっていることを忘れてはならないし、六公用語以外である日本語を使っている我々には、それにまして人的・経済的負担が多いのだ。
 関連してお知らせしたいのは、2月21日は、パリに本部のある国連教育科学文化機関(UNESCO=ユネスコ)の提唱により、毎年ユネスコの加盟国と本部で、次ぎのような主旨に基づいた「国際母語の日」と称した行事が行われていること。
 『言語はユネスコの目的の中でも核心にある。諸言語はわれわれの有形・無形の文化遺産を保存するためのもっとも強力な手段である。母語を広めるための全ての運動は言語の多様性と多言語教育とを勇気付けるだけでなく、世界中の言語と文化の伝統について存分に意識を高め、理解と寛容と対話に基づいた連帯感を養うことにつながるものである。』
 日本人の母語である日本語は、インターネットや携帯電話の普及にともなって、簡便化され記号化して、根無し草になっていると感じている方も多いだろう。「国際言語年」に際し、言霊の幸はう国にすむにふさわしい母語、日本語を考え直したい。神道の立場から世界の言語問題に貢献できることは何か――このコラムを読んでくださる方々から、ご提案していただければありがたい。


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