神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道研究羅針盤 : 上杉千郷氏に聞く
学校法人皇學館 理事長

神道界の団結を 宗教界の交流を
そして研究者の情報交換を
皇學館を大いに活用してほしい

 今の世の中は、私が言うまでもなく、混乱した状況で、今こそ斯界の人たちが結集して、「神道イズム」をいかに再興するかということを、真剣に考えねばならない時期に来ていると思うのです。
 神社神道、教派神道、ほかの神道系の教団――結束しているようで、意外にそれぞれがバラバラですね。細かい理屈をつけずに、神道思想の意義や精神を大事にして、一致行動していくことが重要だと考えています。祀る神はそれぞれであっても、精神的な土壌は同じで、神道理念を共有しているわけですから。
 そのためにも、祭式の基本を大事することも必要なのではないでしょうか。有職故実に沿った祭式には深い意味があるのです。各教団によって祭式のスタイルはかなりばらつきがあるようです。作法の原点といいますか、古来の伝統は守って、その上に各教団のものをプラスする、そんな感覚がいいと思いますね。
 宗教界全体の交流は少しずつ活発になっているようですね。荒廃した世の中で、宗教者として大所高所から協同して、課題に当たっていく。人々の心の問題、福祉に資するのが宗教者なのですから、そういう交流はますます活発になってほしいと思います。皇學館大学が社会福祉学部の充実に力を入れているのも、そういう精神からです。
 こうした観点で、皇學館大学は様々な人たちに門戸を開いていきたいと考えているのです。学生の受け入れはもちろんですが、神道研究者の情報交換の場として、広く宗教者の会議の場として、そして、これからの社会で避けて通れない福祉の問題を考える場として、皇學館大学をいろんな意味で活用していただきたい。
 そして、そのなかから、神道界の発展の道も、神道研究の課題も、社会が抱える課題の解決策も見えてくるはずだと信じているところです。

(皇學館大学にて)
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