第18号 11月15日刊行 神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
新刊紹介

『陰陽道の神々』 斎藤英喜 著

信仰体系の中で活躍する神々と陰陽師の姿

 「陰陽道」といえばわれわれは、中国の陰陽・五行説や道教と密接につながった、神秘めいた呪術信仰と漠然と考えている。近年の陰陽師ブームも一般の観念に影響していることは間違いない。
 しかし、その本当の姿はどうなのか、実態はよく分からないというのが大勢だろう。
 著者によると、まず、古代中国にルーツをもつが、この用語は古代中国や朝鮮半島にはないという。「『陰陽道』とは日本で独自に編み出された信仰、祭祀、呪術の体系なのである」。そして、「世界の生成を陰陽・五行の気の運動で認識する思考法、……暦法、……国家や社会の動向を予知する天文占星術、……占術、さらに呪禁系、道教系の呪術や密教経典にもとづく秘密修法、そして在来の神祇信仰などが複雑に混合されたとき、『陰陽道』という名称の独自の儀礼作法が成立した」ということになる。それが、例の安倍晴明などが活動していた10世紀なのだ。
 その晴明についても、律令制度における陰陽寮の官職に就いてはいるが、その中のポストとしての陰陽師というよりは、平安王朝社会が創りだした職能的呪術師、職業としての陰陽師だったというのが的を得ているようだ。以降の「陰陽師」は、陰陽寮の「陰陽師」の職務を越えて、祓えや祈祷、祭祀にも関わることになる。
 信仰体系としての陰陽道のなかで、「陰陽師」という宗教家たちによって祭られてきた神たちが多く存在する。なじみが薄く、また消された神もあるが、しかしその神々は、民俗神のなかにも多くの痕跡を残しているし、古来の神道や習俗のなかにも、陰陽道との交渉や影響が数多く見出されるという。
 だから著者は陰陽道の神々を見ていくことは、「われわれが前提としているような『日本』とか『日本人』とかをもう一度見直すことに繋がる」と目論見を語る。
 本書にはさまざま陰陽道の神々が登場し、それらの神々と「陰陽師」が関わり、活躍する場面が詳細に、平易に解説されていく。とくに、「陰陽師」界の統括者として近世まで君臨した土御門家とは別系統の伝統を受け継ぎ、今も高知県で行なわれている「いざなぎ流」の信仰世界を陰陽道史の中に位置づけている。
 やや下火になったものの依然人気の「陰陽道」ブーム。その深層にも分析のメスを入れている。

 ▽310頁、2415円、思文閣出版=075(751)1781〈佛教大学鷹陵文化叢書〉

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『世界の宗教を読む事典』 ポール・オリバー著/森英明 訳

世界がわかる - 宗教にまつわる101のキーワード


 世界の宗教を知ることは、世界そのものがわかること―と言っても決して言い過ぎにはならないだろう。宗教的な世界観が人間の様々な営みを支配するウエイトは、過去のみならず、現在でもかなり大きいものがある。
 宗教という言葉に拒否反応を示す日本人でも、無意識のうちに習俗や信仰にまつわる行為を日常的に行なっている。そしてそれ以上に―言い尽くされたことではあるが― 一歩、国外に出れば、世界情勢と民族的な宗教現象は、厳しく絡まり合いながら、毎日のニュースを賑わせているのだ。
 本書「まえがき」でいうように、「宗教とは単なる儀式や礼拝の対象以上のもの」であり、「地球上に住む数十億の人間の生活や文化を形づくる、必要不可欠の要素」なのである。
 本書では大きく「ヒンドゥー教、仏教、その他インド系宗教」「ユダヤ・キリスト教関係」「イスラム関係」「その他の宗教関係」「宗教一般」に大分類し、全部で101のキーワードを解説する。「ヨーガ」「三位一体」「ラマダーン」……。耳にしたことはあっても正確な意味や、その存在理由は案外分かっておらず、あやふやなままで遣り過ごしてしまいそうな、しかし世界の宗教を知り、読み解き、そして世界がわかるために不可欠な基本用語ばかりである。
 後半部には、101のキーワードの解説文のなかで※印が付けられた用語を五十音順で、訳注もかねながら更に深く説明している。英語と日本語の用語対訳も付いて便利だ。
 世界は本当に狭くなっている。世界の人々と接触し、単なるうわべでない付き合いをしていくためにも是非、読んでおきたい、しかも新書判でハンディな事典である。

 ▽431頁、1155円、講談社〈講談社現代新書〉=03(5395)5817

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『我を極める―新しい人生観の発見』    五井昌久 著

自己実現と世界平和への真実を生きる叡智

 白光真宏会の創始者、五井昌久師による生前の膨大な講話から、己を極める生き方について語ったものを収録する。
 五井師は人間の自己実現、ひいては世界平和の成就という究極の目的に向けて思想と真理を語り続け、政財界人や文化人、そして神道界や仏教界などの宗教者にも多大な影響を与えた。逝去して30年近く経つ現在でも、師の思想を信奉し、人生の指針とする人は多い。
 本書で五井師の語る叡智、「我を極める」人生観は、老若男女に相通ずるものである。難行苦行ではけっしてなく、しかし、それはやはり真実なのであり、自己の実現と人類の平和につながっていくものである。
 自己の本体とは何か、目に見えるその奥にある神の見えない働きとは何か、が語られ、我々が無限の力を発揮し、意義ある人生を生きることの本質と方法が自然体の言葉で説かれていく。
   すべてのものに感謝する心、さらには、捉われが、すべてが、光の中で消えていく光明思想、そして、平和の祈り……。神我一体の覚者とも言われた五井師の、講話の場の人々を引き込む語りの真骨頂が、師の多くの著書同様、本書にも濃密に詰まっている。

▽252頁、1680円、白光真宏会出版本部=03(5283)5798 〈東京出張所〉
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