神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
読者からのお便り

清清しい大祓 
       
    6月晦日の夏越の祓を前に、二つの大祓の儀式に接し、列することができました。
    最初は5月31日、伊勢の神宮です。神宮では、6月12月の恒例の祓のほか、大祭の前月(1、4、5、9、10、11の各月)晦日に大祓が執り行われます。この日は、6月の月次祭に属する儀式で、午後4時前、五十鈴川を望む第一鳥居内の祓所に、白色の淨衣の神職の列が入りました。
 このために設けられた祭壇は、古代のヒモロギを思わせ、簡明で質素。約50人の祭員の大半は、祭壇に向かい一直線に座し、一人ひとりに賢木(30センチほどの榊)が渡され、大祓詞が奏申されましたが、なにも聞こえません。大麻等による祓の後、各員が、賢木に息吹をかけ、拍手、拝礼と続きました。
    完全な静寂のなか、背景の森の緑とあいまって、神々しいほどの清清しさでした。
    次は、6月14日、東京赤坂の日枝神社。同社では、6月中旬の山王まつり斎行にあたり、「山王御祓」として行うのを伝統としてきたそうです。
    式の前には、江戸の里神楽が奉納され、定刻三時には、100人をこす氏子崇敬者たちが集まり、興味深げな外国人の姿もありました。
    雨空とあって、通常は、境内中央の茅の輪の前での神事が、神門内となりました。大祓詞を奏申される宮西惟道宮司のお声がしっかりと伝わり、唱和する参列者の声が低い波となって続きました。
    裂布(きりぬの)・解縄の神事。参列者全員が、切麻と人形(ひとがた)による自祓いを行い、茅の輪くぐりとなり、拝殿での祭式のあと、いつものように宮司様による暖かい御講話がありました。
    6月晦日には、恒例の大祓が多くの神社で厳修され、近年、参列者が増えていると聞き、本当にすばらしいと思います。日枝神社でも、再度、大祓が行われ、境内の茅の輪は、その日のために、清清しくも聳え立っていたことでした。 (S・T生)




東京大学神社・神道研究会代表 江端希之

  見た目も性格も風来坊のような私が、東京大学神社・神道研究会の初代代表として、東大の学園祭「五月祭」において、2日間にわたる大規模なイベント「東京大学神社・神道研究会 設立記念講演会」を主催することとなった。こんな私が大規模な講演会の開催をやり遂げることができたのは、私を、そして会を支えて下さったメンバーや関係各所の皆様、そして講師の先生方の、温かなご支援とご協力の賜である。皆様方には、この場を借りて御礼申し上げたい。
 一方で、苦手な作業(リーダーシップを発揮して組織的なイベントを行う)をやり遂げる事ができた私個人の内面的な原動力は、「東大学内に神道の風を吹かせたい」という、神道を大切に思う者の切実な思いであった。東大では、キリスト教研究や仏教研究に関する講演会・研究会のようなイベントは、度々行われている。しかし、神社・神道に関しては、そういった話を寡聞にして聞かない。「なぜ、神道は無視されるのだ。扱いがあまりに不公平ではないか」という、義憤にも似た憤りがあった。そして次に「東大の人々の興味の目を、神道へと向かせたい」という強い心が沸き起こってきた。東大で、神社・神道に関するイベントを行う―それが、東大大学院生という身分を得た私にとって、東大においてやるべき使命のひとつであるかのように思われたのである。
 今回の五月祭では、4人の講師をお招きして講演会を開き、また二日目には三四郎池で、太鼓演奏と巫女舞を披露していただいた。
 この講演会によって、神道の春の到来を告げる一陣の風が、東大学内を吹きぬけた、と私は思いたい。講演会にお越しくださったお客さん方からは、予想以上の好意的な反響があった。「東大で神道のイベントが行われるとは、これは歴史的な事件だ。これは凄いことですよ…」と感慨深くお話し下さったお客さんもいた。政治家の方からは祝辞を頂き、神社界の方やマスコミの方も講演会に足を運んでくださった。お客さんをはじめ、多くの人々が、東大学内に吹き抜けた新たな風を感じてくれたものと信じて、筆を置きたい。



六郷神社の稚児行列に参加

    先日、近所でお祭りがありました。6月8日〜10日の三日間行われた「六郷神社御鎮座950年大祭」です。
 境内には多数の露天が出店し、たくさんの人で溢れ返ります。神輿の盛り上がり様もひとしお。氏子による獅子舞も伝統的で素晴らしかったです。
 そんななか私達は、20数年に一度しか行われないという「御稚児行列」に参加しました。子供達に袴を着せ、お化粧をして、町内を練り歩くというもの。我家にも今年、幼稚園の年少クラスに入った息子がいるので、是非この機会に参加してみようということになりました。
 当日。心配していた雨も降らず、準備万端で集合場所へ向かいました。
 約250人の御稚児が、近所の高校の体育館で袴に着替えます。見慣れない衣裳や光景に泣き喚く子や走り回る子供達……先行き不安になったのは、正直なところです。
 そして見事な御稚児さんに変身したら、記念撮影をしていざ出発!!
町内を一キロほど練り歩き神社へ。神社で御祓いして頂き、終了となりました。
 「子供の心豊かなる成長に感謝する」という意の御稚児行列。不安いっぱいの始まりでしたが、参加して本当に良かったと思います。親子共々、とても貴重な体験ができた一日でした。 (安藤有加)



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