神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

インターナショナル・シントウ・ファウンデーション
ニューヨーク便り


 既報のように、インターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)ニューヨーク(NY)センターには、尼崎えびす神社から出向した太田垣亘世氏が3月に着任、オフィサーとしての業務を開始した。着任にあたって梅田善美理事長も渡米し、日本政府国連代表部や駐NY日本総領事館、ジャパンソサエティをはじめ、ISFと関係の深い諸団体に、新任オフィサーの紹介を兼ねて挨拶回りをした。外資系航空会社での勤務でつちかった流暢な英語で挨拶する太田垣オフィサーは、各訪問先で好感をもたれ、今後を期待するとの声をかけられていた。
 3月4日(日曜日)午後4時から、梅田理事長による神道講座「国際社会への神道の貢献―ISFのめざすもの」(ISFホームページ参照)を、NYセンターで開催した。梅田理事長は、ISFを設立した経緯や今後の展望について説明、ついで着任したばかりの太田垣オフィサーを20名を越える参加者に紹介し、協力を依頼した。太田垣オフィサーは、亘世(のぶよ)という名前のとおり、のびのびとやっていきたいと挨拶した。
 およそ一ヶ月が経過した4月6日(金)、午後6時30分から、太田垣オフィサーが講師となり、神道文化入門講座「日本人の礼儀作法に観る神道精神」が開催された。
 太田垣オフィサーは、環境はそこに住む人々の習慣や性質に大きく影響する。環境には社会と自然環境があるが、もう一つ大事なのは、心の環境の充実である。それにはルールやマナーが必要で、日本語の「礼儀作法」がそれにあたる。「礼儀作法」は生活環境を快適にするためのものであり、国や宗教、言葉などの背景によって基準が変わるので注意しなければならない、と説明。
 ついで航空会社勤務の経験から、世界に50数社ある航空会社は、殆どが日本人乗務員を採用している。日本人利用者が多いこともあるが、世界一丁寧なサービスができる文化集団だと考えられているからだ。そうした日本人の精神、思想には神話に登場する神々の関係が影響しており、それが日本人の調和の精神やよそ者を寛容に受け入れる精神に繋がり、現代社会から評価されるものとなったと述べ、最後に、こうした精神はまた、一神教が圧倒的な世界では不利が生じることもある。宗教的寛容さは無頓着とも言い換えられ、世界の多くの人々が大宗教の精神社会で生活していることを認識し、日本人はもっと様々な宗教の知識を得ることが必要と結論づけた。
 その後の意見交換では、日本人の性質は誇りであるいっぽう、グローバル社会では通用しない、今や言葉で語るということなしでは世界についていけないだろうという意見がでた。またアメリカ人と日本人のカップルからは、文化や性質の違いから改めて日本のよさを知った、日本の神道精神の時代が来たなどとの意見が出された。
 講義終了後は、NYセンターで茶道教室を開いている方々がお茶のデモンストレーションをし、お茶をふるまい、その後、簡単な食べ物とビールで歓談した。参加者15名。太田垣オフィサーは、講座後、神道へは広い分野、角度からアプローチできるので、今後もこうした神道を知る機会を提供できればと述べていた。入門講座は、偶数月に日本語、奇数月に英語で開催することを考えている。


※写真、今後の予定などは ISFホームページに掲載。



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