神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

進む平成の大遷宮  25年に本殿遷座祭 
出雲大社


   史上適時、遷宮に奉仕してきた出雲大社では現在、「平成の大遷宮」を進めている。今年中には仮拝殿が完成、来春には仮殿への遷座祭を執り行なう予定。平成25年の本殿遷座祭を目指す。
 現在の本殿は延享元年(1744)の造営。文化六年、明治14年、昭和28年の3回、檜皮の屋根替えと修理が施されてきた。しかし長年の風雪で、本殿(国宝)の檜皮屋根や屋根裏、ほか多くの部分で損傷を見過ごすことが出来ない状態となったため、今回の遷宮になったという。大社では「一生に一度といっていい大事業。御神縁を後世に末永く継ぎ伝える御遷宮としたい」としている。



港町が一体で支える神話絵巻
美保神社で青柴垣神事

 港町、松江市美保関の美保神社で4月7日、出雲神話「国譲り」に因む青柴垣神事が斎行された。御祭神、事代主神が天津神への国土奉献のため青柴垣へ隠れ、やがて再生するという神話を、同神社および美保関の海上を舞台にたどる古代絵巻。室町時代から続く祭祀組織「当屋制度」にもとづき、氏子らによって連綿と伝えられてきた。
 祭祀の事始めは正月の顔合わせ「役人揃い」から。4月に入ると諸祭事が続き、この日のクライマックスを迎えた。
   当日は本拝殿で例祭が執行される一方、境内の会所では諸役人や、潔斎中の生き神である「一の当屋」(三穂津姫命)および「二の当屋」(事代主神)が瞑目して座り、地元住民の祈りを受ける。お付きの「小忌人(おんど)」や「供人(ともど)」らも脇にひかえる。
「編木(ささら)」役の稚児たちが祭りの進行を境内外に告げ回り、それが七度半になると「二の当屋」は天津神の使者、武甕槌神を迎えるため社頭へ向かう。会所に戻って国譲りを決断する「御解除(おけど)」の儀があり、やがて事代主神(二の当屋)は国譲りを献言するため父神・大国主神の待つ岸辺へ。一行を乗せて岸を離れ、海上で青柴垣の神域に化した御船内では、事代主神の自死・再生の儀が執行される。
   もはや宮灘と参道は高天原。岸に戻った当屋神主は天S女命、猿田彦神に迎えられ神殿へと進む。小忌人や供人は背負われ、あるいは腰上に立ち、土を踏むことなく天空に擬した神域を進んでいった。
   穏やかな天候に恵まれたこの日は多くの参拝者が一連の儀式を見守った。また「当屋制度」を含め氏子ら皆が支えあい、祭りが生活に溶け込んでいると言われるだけあって、港全体が一つになった雰囲気を醸し出していた。

工事進む国宝の本・拝殿
毎土曜に現場見学可能
吉備津神社


 類まれな「比翼入母屋」の本殿・拝殿(国宝)で知られる岡山市の吉備津神社では平成二20年の完成を目指して桧皮葺屋根の葺き替え工事が進められている。工事期間中、社殿はビニール・シートに覆われ、その美しい姿を拝観することはできないが、6月30日までの毎土曜日、9時から16時までの限定で、内部の工事の様子を見学することができる。こうした工事風景を間近で見ることはめったにできないという。ほか、桧皮採取のビデオ放映や、竹釘製作の様子を紹介する写真パネルの展示なども催している。



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