神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

鹿島神宮で「大寒禊」
 各地から百三十人が参加


 茨城県鹿嶋市の鹿島神宮で大寒の1月20日、恒例の「大寒禊」神事が行なわれた。参加者は「御手洗池」で心身を清め、今年一年の健康と、国家の平和安泰を祈念した。参加したのは76歳から18歳、女性12人を含む130人。関東のほか東北地方からの参加者もあった。
 午前9時半、正式参拝した一同は、同神宮の広大な森域でも奥まったところにある「御手洗池」に移動。白褌(女性は白衣)になって列を整え、祓詞を唱えた。そして、道彦役の神職とともに「鳥船」「雄健」等を執行して気合を入れ、池に身を沈めると、神域に向かって大祓詞を高らかに斉唱した。
 「今年は暖冬で氷も張らず、多少は楽」(鹿島則良宮司)とはいえ、池を出て着衣する頃には緊張も解けて、かえって身震いする人も続出。最年少参加者で、神職を目指してこの四月に國學院大学に入学する箱根悠樹君(18 )も「寒かったけど、良い経験になった。大学に入っても厳しく勉強して、皆の先達になれるように頑張りたい」と、鳥肌で震えながら話した。
 行法後は直会会場に移り、Q神社宮司の矢作幸雄氏(鹿島神宮禰宜、筑波大学大学院非常勤講師などを歴任)の講話を聞き、修了証を受けた。同氏は「日本は本来、穏やかで、あたたかい和の国。今、世の中は乱れてしまっているが、神道精神が行き渡っていればこんなことはないはず。日本の心をもういちど取り戻す、その一つが禊ぎの心、清らかな心なのです」と参加者に語りかけた。

------------------------------------------

伝承の神楽奉納と湯立神事
  千葉県八千代市の七百余所神社


 妙見信仰と村上神楽で知られる千葉県八千代市村上地区の七百余所神社で1月15日、一年の五穀豊穣と平安を祈る祈念祭があり、神楽の奉納と湯立神事が行なわれた。
 午前の祭事に続き、神楽奉納は午後2時から。村上の神楽はもともと十二座あったが、今は「修祓」「翁の舞」「種おろし」「湯巫女の舞」「みかぼし」など九座が伝わる。休憩を挟み2時間かけて古伝の演目が次々と演じられた。
 氏子らは当日、それぞれ12個の餅を神社に奉納し、他の1個を持ち帰る。残った餅は神楽と湯立神事に続いて神楽殿から参集の人々に撒かれた。
 湯立では、炎にかけられた大釜の煮え湯に神主が長箸を入れて印を組む秘伝の祈念を行なった。笹束を釜湯に浸して周りの参拝者に振りかけ、やがて自らが熱湯を振りかぶると、氏子の手に抱きかかえられ社殿へと運び込まれる。このとき落された笹を参拝者が奪い合い、この笹で残り湯を体に振りかけ、今年の無病息災を願っていた。

----------------------------------------

ユーモラスな演出の十二座神楽も
茨城県稲敷市の大杉神社



 全国あんばさま信仰の総本宮、茨城県稲敷市の大杉神社で節分の2月3日、節分祭が執り行なわれ、夕方からは十二座神楽の奉納もあり、終日多くの参拝者で賑わった。
 当日は特別祈願のほか、大改修で鮮やかな彫刻の蘇った本殿・拝殿前に設けられた大舞台で追儺祭が行なわれ、豆と福物が撒かれると、大きな歓声がこだました。また、神職や巫女らによる「鳴弦(つるうち)」「振鼓(ふりつづみ)」「祭文奉読」「割焙烙(ほうろくわり)」「撃桃(ももうち)」の儀などが次々と斎行され、参拝者は古来の儀式に感心しながら見入っていた。
 神楽殿前には注連縄が張られ、その四隅には東西南北を守護する青龍・白虎・朱雀・玄武の四神が安置された。夕闇の降りた午後六時、追儺・福豆神事に平行して神楽も始まり、勇壮な「猿田彦」「田力男」、畏怖の姿で魔を除く「田の神」、幽玄で厳粛な「榊葉」のほか、ユーモラスに釣りをする「恵比寿」や、茶目っ気たっぷりに縁起物を投げる「稲荷大神」などが参拝者を沸かせた。


Copyright(C) 2007 SKG all rights reserved
当ウェブサイト内の文章および画像の無断使用・転載を禁止します。