神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

フランス・ブルゴーニュに和光神社
水屋神社が分祀社建立


 水屋神社(三重県松阪市)は、昨年11月、フランス・ブルゴーニュ地方のラ・モンターニュ村に分祀社「和光神社」を建立した。
 この分社を建てる事情については、神道フォーラム平成17年11月15日号の「話題のこの人」欄で紹介済みだが、いよいよ真言宗寺院光明院敷地内に分祀社を建立するに当たり、助勤神職を務めた大澤治隆氏(東京小金井市・上宮大澤神社禰宜)が当会に報告記事を送ってくれた。
 10月30日、水屋神社フランス分社奉賛団が祠とともに出発。大韓航空にてソウル経由でパリへ。夜九時過ぎに、長時間のフライトを終え、シャルルドゴール空港に到着した。日本全国各地からの参加者、奉賛団の35名を含め約50名。分祀祭を行うために、祠と久保宮司、私を含めて13人が、バスでおよそパリから200キロ南のブルゴーニュの光明院へ。 ブルゴーニュに近づくにつれ、霧がだんだんと濃くなり、通訳代わりの私も心配。少し道に迷ったものの、他に大きなトラブルも無く、無事到着。霧雨のなか、製作を担当した嶋田宮大工が祠を組み立てる。終わるとすでに朝の三時半をまわっていた。
 翌31日午前10時半、ご神前の準備を終え、全員が手水をし、光明院住職夫妻をはじめ、現地のかたがた数10人とともに水屋神社分祀祭(鎮座祭)が厳粛に行われた。 この儀式が終わって初めて、水屋の神様がブルゴーニュの地に御鎮座された。
 光明院での昼食後、再びパリに向けて出発。分祀奉祝祭の前夜祭ということで、エッフェル塔近くのホテル・ノボテルでパーティが開かれた。これには150名以上の方が参加。関係者挨拶の後、雅楽・浦安の舞や武道などの日本文化が紹介され、新聞やテレビの取材もあった。
 翌11月1日は青空の下、ブルゴーニュで、分祀奉祝祭が午前10時半より斎行された。予想以上の大反響で、地元の方、遠方の方を問わず、220人名以上が参列された。そのため、手水を全員が終えるのに時間がかかり、開始が遅れるなどハプニングもあったが、厳粛かつ盛大に執り行われた。久保憲一・水屋神社宮司は、「日仏両国の崇敬者の団結と和の結晶である水屋神社の分祀社が、建立目的と時宜に適した『和光神社』と命名されたことを嬉しく思う」と挨拶された。
 午後は、現地の方や日本から参加の方による空手・合気道などの演武・舞踊などの演舞もあり、地元のご馳走が振る舞われ、茶道のお点前やらアコーディオンやオルガン演奏などが行われ、夕方まで境内は楽しい雰囲気に包まれた。
 この雰囲気を、私の母、大澤光子は、次のように短歌で詠んだ。

水屋神荒れし地球を正さむと ブルゴーニュの地に降(お)りたまふ

荒れ果てた人を地球を清めむと 日出る国の神降り立ちぬ

今の世になお戦う国の在り 神道を以て平和なる世に

 フランス人ガイドがまるで結婚式のようだと感想を述べたが、非常にアットホームな雰囲気で、本当に日仏文化の結婚式だったのかもしれない。ここが日本の和のこころをヨーロッパに伝える場所の中心のひとつとなればうれしい。
 個人的には、貴重な体験をさせていただき、また大勢の人と親しくなれたことが大きな収穫となった。帰国後、フランス人ジャーナリストから神社とバイクのことで取材を受け、その記事は5カ国ほどの雑誌に載ることになった。神様にご奉仕したご褒美かなと、ちょっと誇らしく思っている次第である。



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