神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
読者からのお便り

滝行に参加して      川崎清司

 9月初旬にNPO法人・東京自由大学主催の滝行に参加しました。場所は、静岡県・湯河原の山中にありました。車道の終点地から30分ほど山道を歩くと天照山神社があり、白雲の滝はその神社からさらに十分ほど歩かなければなりません。山登りには、いつも出かけているので、散歩程度の感覚で歩いていましたが、参加メンバーの中には、こうした所に来たことが無かったようで、調子が悪くなった方もいました。
 神社に着くと、まず全員で簡単な清掃を行い、神前で音楽隊?による石笛や笙などの演奏が捧げられ、その後、簡単な神道の作法(玉串を捧げたり、祝詞をあげる)を行いました。準備体操、滝に入る際の注意事項などを聞いた後、いよいよ本日の道場である滝場に向かいました。
 その場所には、落差12mはあると思われる滝がありました。今回初めての滝行という事もあり、本当にあの滝に入れるのかなと、少々不安になりました。経験者から順に入っていき、いよいよ自分の番に。滝に近づくと、水量の迫力に圧倒されそうになりましたが、恐る恐る中へ。思っていたより水は冷たくなかったのですが、強烈な水圧が頭から肩にかかりはじめました。どうせなら、前の経験者たちと同じように滝ツボ(落下している中心部)に行くぞ!と決意して、両足を踏ん張りながらヨチヨチ歩きで本流の中心部を目指しました。さすがに鼻で息をすると、水が入ってきましたので口呼吸をするしかありません。
 今回は特に祝詞・お経・コーラン・マントラなどは唱えず、心身ともにオープンにして入りました。体中の毛穴に水が浸透してくるのではないと思われるほどの強烈な水のシャワーを浴びているためか、そういえば人間の体の大部分は水分だったよなぁ、どうりで親和性(一体感)があるわけだよなぁ・・・などと思索しているうちに頭が垂れてきました。下を向くと、水圧で前に弾き飛ばされる危険があるので注意しなければいけません。
 滝から出た後は、他の人が順次滝行を行っている間、全身ずぶ濡れの状態で、ぼんやり滝の周りを眺めていました。当日は快晴だったこともあり、青空と木々の緑のコントラストがきれいでした。暫くすると、長時間温泉にノンビリつかっていたような、心身ともに何とも言えぬサッパリ&スッキリ感が残りました。まさに、命と体の洗濯といったところでしょうか。自然と心身ともに一体感を得られるという点でも、印象的な経験でした。機会があればまた参加したいと思いますが、真夏以外の季節では辞退したいところです。

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