神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

“えべっさん”を「地域の交流と結束の拠り所に――」
社頭の隆盛を目指す 尼崎えびす神社禰宜 太田垣亘世さん


 「お蔭様でここ尼崎の商店街は活気があって、元気のいい町ですよ」
 そう言って、微笑みながら胸を張るのは兵庫県尼崎市の尼崎えびす神社禰宜、太田垣亘世さん。外資系航空会社の客室乗務員、アメリカ留学など、6年を超える海外生活を経て3年前、実家に戻ってきた。
 「えべっさん」こと、同えびす神社は阪神尼崎駅に程近い中心街の一角に鎮座し、街の繁栄と商売繁盛にご利益を恵む。ここで太田垣さんは、父で宮司の元朗さんら家族とともに日夜、神明奉仕に励む。そのかたわら、地元の美容師専門学校、客室乗務員の予備校などで接遇マナーや英語の授業を受け持っている。
 神職資格を取得して2年。商店街でつくるタイガース応援団による「必勝祈願祭」や、市主催の「産業発展祈念祭」など祭事に出張するのにも、ようやく慣れてきた。「最初は神事に出向いても、『で、神主さんはどこですか』なんて真顔で言われたりして」
 女性神職に対する世間のとまどいに、逆にとまどうことも少なくないようだ。「慣れたとはいえ、女性神主として、神社人として、越えねばならない課題も多いとは思います」
 それでも、地元とともに歩む神社のあり方に知恵を絞り、ひいては神道と社頭の隆盛を思い描くなど、前を見据えている。

海外勤務で目覚めたアイデンティティと、多様性の尊重

 今、課題の第一と捉えているのは、神社と地域との交流をいかに密にするかということ。市の活性化を考えるシンポジウムにパネラーとして招かれれば積極的に提言する。社報(「えびす神社便り」)やインターネットサイトの制作・編集に工夫を凝らし、神社の姿を分りやすく地域に発信する。
 地元には在日韓国人や中国系の人々が多く暮らすため、そうした人たちとの友好も重要と考えている。航空会社に勤務していたころ、香港に長く生活した。多様な価値観が混在する社会のなかで、日本人としてのアイデンティティに目覚め、同時に、他者の文化を尊重する大切さを学んだ。
 「神社や宗教というと、とかく排他的な所と見られがち。多様性を尊重し、在日の人にとっても、若い人にとっても、みんなの交流の場、地域の結束の中心になれば楽しいですね」
 信仰心の希薄化、氏子観念の消失、個人主義の高まりなど、山積みの問題は承知の上。かつて共同体の心の拠り所だった神社の復活を、新たなかたちで目指す太田垣さんの挑戦は始まったばかりだ。



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神社参拝記
三峰神社(埼玉県) :リチャード・カーマン(イギリス)
        

 9月10日、神道勉強会葦の会の人達にさそわれて、埼玉県の秩父の三峰神社へ参拝してきました。当日は晴れわたっていて、あたたかったのですが、多少曇っていました。事前に読んでいた山風景の景色が損なわれないことを祈っていました。
 三峰神社をはじめ、この辺りの景色の美しさに感動しました。神社に入ると狛犬があったのですが、今まで見てきた狛犬とは様子がちがっていて、胴体が細かったです。
 神社の本殿は多彩な色で塗られていて、日光の東照宮を思いださせました。私達を案内していただいた神社の方から、2年前に塗りなおされ、その時かかった費用が7億円だと聞いてびっくりしました。
 またここにずらっと並んでいる末社をお参りすれば、各地の主要な神社にお参りしなくてもいいというたくさんの末社を見て非常に驚きました。
 本殿で正式参拝の儀式をした後で、私達は奥宮遥拝所にむかいました。ここから見た、今から向かう頂上を含む山脈の見晴らしは素晴らしかったです。
 山の神へのお参りは、山を登ることが出来ない人のためにここが設けられたということです。その後で私達は山を登りはじめました。
 最初の山道はよかったのですが、最後の方は非常に険しかったです。しかし無事に頂上まで登ることができました。祠が小さかったので驚きました。そして頂上自体狭かったのに、驚きました。しかし、そこからの視野は息をのむような素晴らしい景色が展開しておりました。
 今日の楽しい行程を通して、神社の素晴らしさだけではなく、素晴らしい景色に感動しました。これは埼玉県としての誇りでもあると思います。           

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