神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

日本国の国連加盟五十周年を祝って

ニューヨークで雅楽演奏会

ISFの企画に小野雅楽会が応援

    1956年12月18日に、日本が国際連合に加盟してから、平成18年(2006年)は、ちょうど50年にあたる。それを記念するさまざまな行事が、国連日本政府代表部で企画されているが、国連認可のNGOとして、その行事を協賛したい、とかねてから協力を申し入れていたインターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)は、日本政府代表部と協議を重ねた結果、日本文化を代表するものとして、雅楽の演奏会をニューヨークで開催することになった。
    開催は、加盟記念日に近い11月28日で、会場はニューヨーク国連本部前に位置するジャパン・ソサエティ。主催は、日本政府代表部とジャパン・ソサエティで、ISFは協賛の形をとることになり、大島賢三国連大使からの協力要請状が届いている。
    日本の佳年を記念するこの企画に、小野雅楽会(会長=小野貴嗣・小野照崎神社宮司)が、ボランティアで協力。さらに、昭和天皇の世界平和をお祈りされている御製をもとに多忠朝氏によって作曲振付され、全国の神社で奉奏されている「浦安の舞」がくわわり、色を添えることになった。
    厳しさをくわえる世界情勢で、いっそう重要な役割を担う国際連合。その一員として、世界の平和と繁栄に、これまでの50年にまして積極的な役割を果たす日本国の、前途を祝うにふさわしい、文化の香りたかい演奏会になることが期待されている。


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小野貴嗣・小野雅楽会会長に抱負を聞く
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「行事の主旨を受け止め、
共々お祝いできるご奉仕に」
伝統の雅楽──その魅力も伝われば

 今回のニューヨーク雅楽演奏会の中心メンバーとして公演する小野雅楽会は120年の伝統を有する民間の雅楽演奏団体。雅楽の生命力を絶やすことなく継承・振興することを目的に明治20年に発足した。武技・政治に優れ、詩文や和歌にも精通した平安初期の貴人、小野篁を祀る小野照崎神社(東京都台東区下谷)に拠点を置く。
    宮内庁楽部は別格として、雅楽の本質と正統を踏まえた演奏は斯界随一との定評もある。演奏活動、後進の育成のほか、研究誌『雅楽界』や譜面・CDの刊行など、雅楽の振興に努める。
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     同会は「雅楽の本質」とともに「雅楽本来の生命力、のびやかな力強さ、輝き」を表現することに力を入れているという。同会の小野貴嗣会長(小野照崎神社宮司)は「そのためにも講習会員への指導では、技術もさることながら、雅楽に込める心や精神もしっかり教授するようにしている」と強調する。
     今ニューヨーク演奏に関しても同会長は、「そうした雅楽の魅力が、現地の人々に一所懸命聞いていただける中で伝われば」と願う。「向こうの人は良いものは良い、分からないものは分からない、とハッキリ言いますからね。でも、可能なかぎり分かり易い演目を考えておりますし、心意気を持ってきちんと演奏すれば伝わると思います」
     今演奏会は日本の国連加盟50周年を記念する行事。同会長は「観衆の方に喜んでいただくと同時に、『加盟50周年』で、という折角の機会をいただいたのだから、その主旨を明確に受け止め、共々にお祝いできるようなご奉仕ができればいいですね」と抱負を語っている。

インターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)便り


    6月23日(金)午後6時30分よりISFニューヨークセンターに於いて、第9回神道入門講座「夏越の大祓について」が開催された。聴講者12名。前半は、30日に執行される夏越の大祓≠ノついて、新渡戸涼恵オフィサーによる事前講習。日本人にとって祓とは、穢れとは何かを解説し、大祓詞を参加者と共に奏上した。
     後半は、ワシントンDCから天心一流の道主・新宅四郎師を講師にお迎えして、清めの武道≠ノついて、演武を交えながらお話しいただいた。新宅師は、神道と武道の密接なつながりについて説明し、合気道では、「頭は天照大御神、心は祓戸大神、そして、お腹が天御中主神である。」と説いた。参加者からは「武道体験してみたい」「夏越の大祓には必ず伺います!」との声があがった。
    30日(金)には毎年恒例となった夏越の大祓を斎行、26名が参列した。大祓詞奏上は、事前講習の効果で、参列者が大きな声で唱和し、神聖で力強い響きとなった。直会にはお供え物のお神酒を拝戴、その後は、手作りのおむすびを頂きながら、来月の七夕のお芝居用の巨大折り鶴をみなで折った。
 7月8日(土)、ジャパンソサエティーからの依頼を受け、織姫と彦星の物語を芝居として公演した。
 今回の「天の川伝説」は、スタヂオ言霊・主宰の松田光輝氏の作/演出/主演である。新渡戸オフィサーが公演に先立ち修祓を執り行い、織姫役で歌唱披露、出演した。日本語による響きを大切に作られたこの戯曲の台詞は日本語、解説は英語で構成され、日本人も非日本人も楽しめるように考えられている。本番一週間前にはチケットが完売となるほど注目された。
 100名をこす参加者達は、シャボン玉や風船、カササギを模して作られた巨大折鶴に一喜一憂。「貴重な経験だった」「子供が物語の世界に入り込んでいて、親としても嬉しかった。日本の文化はやっぱり素晴らしい」「出演者の声の素晴らしさと演出能力の高さが印象に残った。ぜひまた公演してもらいたい」と高い評価が挙げられていた。
 8月5日(土)、マンハッタンでの『UNIVERSAL PEACE DAY』に、昨年に引き続き参加した。野外コンサート「SHARE THE VISION OF PEACE」には、新渡戸オフィサーがオリジナルソングを英語版で披露。その後NY本願寺ヘ場所を移し、広島の原爆投下の日本時間8月6日午前8時15分にあわせ、中垣住職が鳴らす鎮魂の鐘で全員が黙祷を捧げた。つぎに一人一人が赤い蝋燭を手にリバーサイド教会へと移動。仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の代表者が続々と祈りを捧げ、新渡戸オフィサーも英語での挨拶のあと、御製の和歌を唄ひ上げ、二拝二拍手一拝の神道の作法で祈りを捧げた。


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