神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
富士学会が公開シンポ「山岳と宗教」


多様な視点から
富士山にアプローチ

 富士学会(会長=西川治東京大学名誉教授)の公開シンポジウム「山岳と宗教―聖なる山に学ぶ」が6月25日、東京の立正大学で開催され、研究者6氏がそれぞれの専門分野から「富士山」に焦点を当てて講演を行なった。講演後は質疑応答も含めた討論会。また前日には都内にある文化財指定の主要な富士塚を巡検した。
 講演は中尾堯・立正大学名誉教授(演題「富士山と仏教信仰」)、時枝務・立正大学助教授(「山頂遺跡と修行窟―考古学からみた山岳宗教」)、長野覚・元駒澤大学教授(「富士と修験と自然保護」)、堀信行・首都大学東京教授(「見立ての富士―日本人は山の形に何を見てきたか」)、河野忠・日本文理大学教授(「修験道と遍路道の名水〜弘法水をつなぎ手として」)、平川祐弘・東京大学名誉教授(「富士山に日本の永遠を見る―軍人歌人市丸利之助の生涯と作品」)。
 中尾氏は富士講の信仰に関して、道程の苦行と、現地での山岳修行者との交感に聖俗の隔壁を越える信仰観念を読み、日蓮宗における七面山からの富士遙拝の構造にも触れた。時枝氏は山頂経塚や中腹の「人穴」遺跡など考古史料を示し、登拝(富士禅定)は十二世紀、参籠行は十六、七世紀に成立したとした。
 長野氏は修験道の十界修行の聖域観による智恵が図らずも自然保護・守護の働きをしていることに注目を促した。堀氏は富士山容に対する意識、特に三峰に描かれたことに関し、神仙思想とともに炎の象徴と見る脈絡も加えて考察した。
 河野氏は修験や遍路の道にある名水について水質成分の分析結果を紹介し、各地の名水にまつわる伝説は経験的な根拠を持って語られたとした。最後に平川氏は、富士を主題とした歌を百首近く詠んだ市丸の作を紹介し、霊峰に対したときの神道的な感情、精神的な意味を酌み取った。

●日本民俗学会
 第五十八回年会を10月14日から16日、山形市の山形大学・小白川キャンパスで開催する。
 14日13時から公開シンポ「『語りの文化』からみた日本民俗学の今後」と総会など。15日は9時半から研究発表・分科会発表。16日は見学会。
 問い合わせは同学会=電話03(5815)2265。

●日本道教学会
 18年度(57回)大会を10月28日、大阪府豊中市の大阪大学・豊中キャンパスで開催。
 問い合わせは日本道教学会=龍谷大学文学部内/電話075(343)3311〈内線5765〉。

●日本山岳修験学会
 第27回学術大会(三徳山学術大会)を11月4日と5日、鳥取県三朝町の総合文化ホールで開催。三徳山は今年、役行者による開山千三百年を迎えている。4日は14時50分から、松浦正明・富山大学教授の公開講演。「三徳山の遺宝の語るもの」。16時から公開シンポ。「蔵王権現ゆかりの三霊山の縁起・伝承―三光仏の浄土」。宮家準・同学会会長を司会にパネリストが討議する。5日は9時から研究発表。
 問い合わせは鳥取県立博物館学芸課・福代氏=電話0857(26)8044。




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