神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

神道国際学会からのお知らせ

日中交流記念国際シンポの開催が決定
太子の遣隋使派遣から千四百年を記念し来年五月に
出帰港の地、航海安全を祈願した大阪・住吉大社で

「遣唐使」に焦点あて両国の研究者が
講演・発表・ディスカッション

  日中交流の本格的な開始の象徴としてたびたび言及される607年の聖徳太子による遣隋使派遣から来年の平成19年(2007年)は1400年に当たることから、来春5月に大阪の住吉大社(真弓常忠宮司)で「日中交流記念国際シンポジウム」が開催されることがこのほど決まった。
  両国の文化交流の原点となった遣隋使、遣唐使に焦点をあて、交流がもたらした成果を多方面から解明する。日中双方、各大学から専門の研究者が参加、発表する。
  主催は企画に賛同した日中の各界人らでつくる同シンポ実行委員会(会長=中馬弘毅・行政改革担当大臣、委員長=王勇・浙江工商大学教授)。共催として日中科学技術協力会議ほか中国・浙江工商大学、四天王寺、四天王寺国際仏教大学、奈良大学、住吉大社奉賛会などが名乗りをあげている。
  神道国際学会は、シンポ実行委員会の主要メンバーに、理事や顧問などが加わっているため、協賛することで調整を進めている。
  「住吉の津」が飛鳥時代から平安前期まで遣唐使の出・帰港の地だったこと、遣使が出発に際して海の神である住吉大神に航海安全を祈ったこと、そして船には住吉神を祭り、住吉の神主が安全祈願のために同乗したこと――など、現在の住吉大社は当時、遣唐使派遣という国家事業と、そこに関わった人々の願いと切っても切り離せない関係にあった。
  シンポジウムを最初に着想した同大社の真弓宮司(皇學館大学名誉教授)は『万葉集』にある「住吉に斎く祝が神言と行くとも来とも船は早けん」(四二四三)などを引きながら、「万里の波涛を乗り越えて大陸に押渡るのはまさに命がけ。いつ難破して海底の藻屑となるかもしれなかっただけに祈りは切なるものがあった」と、往時の人々の心情を推し量る。
  さらに同宮司は、「近年、日中間には幾多の問題が横たわっているが、中国経済の進展に伴ない、日中貿易もにわかに活況を呈している。しかし、利害得失に明け暮れるだけではなく、相互の文化に学ぶところがなくてはならない」とも述べている。
  シンポジウムは、万難を押しやって派遣を推進した為政者や、命を受け、あるいは自ら望んで海を渡った遣使、留学生、留学僧などの熱誠を偲び、現在の日中交流の意義を再考しながらの開催となりそうだ。
  現時点では、平成19年5月8、9両日を予定。基調講演や記念講演、パネルディスカッション、各氏研究発表のほか、2日目が住吉大社の「卯之葉神事」および「奉納舞楽」の祭日にあたることから、祭典参列と舞楽鑑賞も検討されている。
※シンポジウムの内容は詳細が決定の都度、本紙面/ホームページなどでもお知らせしていきます。

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