神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神社界あれこれ

三輪事務局長が退任
長年IARF日本チャプターの実務支え


  IARF(国際自由宗教連盟)に加盟する日本の教団・宗教関係者で構成する統一機関、JLC(IARF日本連絡協議会)のうち、個人会員でつくるIARF日本チャプターで、長年実務を統括し、同チャプターの屋台骨を支えてきた三輪隆裕事務局長(愛知県清洲市・日吉神社宮司)がこのほど退任した。5月3日、東京の花園神社で開かれた同チャプター第22回総会で正式に了承された。

個人ベースで宗教者が話し合う『チャプター』は重要

  三輪氏は退任にあたり「84年にIARF世界大会が東京で開かれたとき、実行委員長を務めたのが椿大神社の山本行隆先生。当時、神道青年会で活動していた私は、先生から『宗教者たるもの国際交流と世界平和を考えることなしに過ごしてはいけない。神社界もそれを避けて通ることはできない』と教えられた。また、加盟団体の金光教泉尾教会や立正佼成会の諸先輩からも、お付き合いの中で国際交流の歴史や精神を叩き込まれた」と話し、様々な交誼に感謝した。
  また「東京大会に前後して日本チャプターもでき、自然と事務方としてお手伝いすることになり、事務局長としても長年、仕事をさせてもらうようになった」と振り返り、今後も側面からの協力を惜しまない気持ちも表した。
  これまでの活動実績から三輪氏はIARFの諸状況を熟知しているため、今後も同連盟での同氏の発言が注目されている。
  IARFは1900年創立の国際宗教協力団体。国連認可NGOで、国連経済社会理事会の諮問を受けるハイレベル団体の一つ。日本からは六教団および日本チャプターの計七団体が加盟している。
  うちチャプターの存在意義に関して三輪氏は「原理主義の宗教が互いに潰し合いをしても進展はない。一神教的発想から近代の科学技術が生れたのは事実だが、これからはアジア的な多元的思考が大切。両方をきちっと理解し、バランスのとれた精神と思考を持った宗教者らが個人単位で参画し、個人ベースの話し合いを通じて信頼関係を醸成する組織が是非とも必要」と語る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

神社本庁定例評議員会などを開催

  神社本庁の平成18年定例評議員会(神宮、各都道府県神社庁長・副庁長・氏子総代などで構成)が5月24日から26日まで、東京の神社本庁舎で開かれ、執行部の示した決算・事業報告や平成18年度一般会計予算案などを審議・議決した。この時期の諸会議や諸行事は通称「青葉会議」と呼ばれており、同評議員会を中心に、前後して神社本庁班幣式や都道府県神社庁長会なども開催された。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

神社本庁設立六十周年記念大会を開く

  神社本庁は設立60周年を迎え、5月23日、記念大会を東京の赤坂プリンスホテルで開催した。式典には秋篠宮・同妃両殿下が臨席された。また、本庁の池田厚子総裁、久邇邦昭統理を筆頭に、全国から神社関係者など約千六百人が参列した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

住吉大社で卯之葉神事
御鎮座の五所御前に卯の葉の玉串を奉献
奉納舞楽の披露も


「日中交流1400年記念国際シンポ」開催決定の記事でも触れた住吉大社(真弓常忠宮司)の「卯之葉神事」が5月2日(五月最初の卯日)、多くの崇敬者らが参列して斎行された。
  大神が奉祀された卯月上卯日(現在は五月の同日)に執行される同大社の御鎮座記念祭。第一本宮での本殿祭では、卯の枝葉を烏帽子や冠に着けた斎主(真弓宮司)・祭員・巫女らにより神事が行なわれ、地元の茶道、香道の高匠により献茶、献香が奉仕された。巫女舞の奉納後、斎主に続いて参列者が次々と卯の葉の玉串を捧げた。
  引き続いて一同は境内の、神功皇后が最初に住吉大神を奉祀したという「五所御前」に移動し、同じく卯の葉の玉串を捧げた。「五所御前」は、神功皇后が住吉大神を祀ろうと見通すと、杉の木に鷺が三羽とまったので、大神の思し召し叶う霊域であるとして御鎮座地に定めた所といい、今も玉垣内に杉の御神木が立っている。
  祭典の後、日本三舞台の一つという神池に架かる「石舞台」で、住吉舞楽の由緒を踏襲し、舞楽奉納が披露された。奉仕は天王寺楽所雅亮会。「振鉾」「仁和楽」「貴徳」などが奉演された。
Copyright(C) 2005 ISF all rights reserved
当ウェブサイト内の文章および画像の無断使用・転載を禁止します。