神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道展示館訪問 : 國學院大學神道資料館

貴重な神道専門の資料館
研究と教育に資する資料群を展示
農耕生活に根ざした民俗資料も

 神道学に関する資料の展示と蒐集という活動は「神道系大学の生命」(「大学概要」より)と謳っているように、本資料館は神道の学術的研究と教育啓蒙に必要な諸資料群を扱う全国でも希有で、ユニークな専門資料館である。
 大学の前身「皇典講究所」の蒐集品をもとに、関係資料を加えて昭和三十八年に「神道学資料室」が開設(大学創立八十周年記念事業)された。同五十三年には機構を改めて「神道資料展示室」に、そして平成二年には現在の「神道資料館」に改称された。
 所蔵する資料数は約二千二百点にのぼる。社殿や神饌等の模型、祭器具、御神服や装束、雅楽器、屏風等の神道美術、社頭授与品、記録・縁起ほか文書類、宝印拓本、民俗資料……。
 うち実際の展示では、来館者が見て分かり易いよう、神饌や祭具、大嘗宮の模型、大嘗祭・祭礼の絵図、民衆の生活に溶け込んだ神道民俗の資料など、視覚的に興味を惹く品々が陳列されている。
 例えば神饌に関する展示群では、供え物自体が神聖なものではあるが、日常生活と生産に密着した食物を献供することで神の恵みへ感謝を表していることがよく分かる。
 また、民俗関係では、樹枝を削り掛けした「削り花」「祝い棒」のほか、小正月の小豆粥を煮るのに使ったのち道祖神や田の神に献じ、農作業の始まりに際して田畑に刺す「粥掻き棒」などが展示され、生活に根ざした農耕儀礼に込めた素朴な祈りを彷彿とさせる。
 展示以外にも、希望によって、各地の祭礼行事や伝承、民俗芸能に関するビデオの上映も可能。また三年前から台湾の世界宗教博物館と提携し、随時、神道資料の貸出展示を行なっている。


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