神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道国際学会新会長・副会長就任にあたって

質量ともに高い研究成果を蓄積   会 長: 薗田 稔

  会長を拝命したからには、本会が学界に対し、より質の高い研究成果を提示できるよう、一歩も二歩も踏み込んだ具体的な活動の展開に全力を尽くしたいと考えております。
 新体制では本会の基本的な方針として、@学術的かつ学際的な研究活動A国際的な研究交流―この二点に関して従来以上に重点を置くことで意見が一致しました。
 学際的という点では、神道学の関係者だけでなく、周辺分野・関連領域の研究者にも大いに参画していただき、単なる個別研究にとどまらず、歴史学的にも社会学的にも多角的な成果を蓄積したいと考えます。
 国際的な研究交流においては、従来より海外の神道・日本文化研究者と共同で諸事業を展開してきたわけですが、今後は一層、相互に議論を重ねるとともに、互いの文化背景からアプローチした場合の比較文化としての神道理解、ひいては各自文化の自己理解へとつながる面白さも追求していければと期待しております。
 このほか具体的な抱負としては神道史料のデータベース化など様々な構想がありますが、いずれも本会内外の方々のお力添えが必要ですので、今後ともご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。(談)

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万人が納得する学術研究を推進  副会長: 米山 俊直


 私個人の専門は文化人類学ですが、宗旨宗派を問わず昔から宗教学にも関心を持っておりました。フィールドワークで訪れたアフリカにはイスラム教徒も多く、見聞の過程で大いに興味をそそられたものです。
 私の研究アプローチがそうだからかもしれませんが、私はビリーフ(信仰・信心)ということにいつも関心が向かいます。つまり民間信仰の研究が大事だと考えているわけです。民間信仰を見ることは、将来の地球の平和と安寧に大いに資すると思うのです。
 そして、日々迷いながらも逞しく生きているごく普通の人々の立場に立って考えてみる。民間信仰を研究する場合には、この態度を保持することが非常に大切になってきます。
 その意味で本会においては、神道研究というものを、何らかの意図を内に秘めた手段と捉えるのではなく、万人が納得いくような形で解き明かしていくべきだと考えています。
 神道というと特に海外では、ナショナリズムと結びつけるなど、まだまだ神経質な面があります。そうではないのだということ、普通の人々の生活に根ざした信仰の主要な部分を担っているのだということ――を国際的に理解してもらうのは決して容易ではないかもしれませんが、本会は学術研究を通して、その役割を果たせればと願っております。  (談)


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