9月度 日本語による神道文化入門講座 

「日本のお土産文化と神道の関わり」


講師:太田垣亘世 ISF NYセンター

 ISFニューヨークセンターが月例に開催する神道文化入門講座は、2007年9月28日(金)に、『日本のお土産文化と神道の関わり』をテーマとして実施された。
 講師となった私(太田垣)は、前職として客室乗務員をしていたとき、外国籍の同僚から日本人客のもつお土産の多さを指摘され、普段は私達日本人が意外に自覚していないお土産という文化に着目し、改めてそれはなぜかという疑問を抱いてきた。
 まず、「お土産」の語源にはいくつかあるが、「宮笥」(みやげ)という、昔、神社の祭に参列した際、お神酒やお下がりをおかげとして家族に持ち帰るための「笥」(ハコ)から来たという説が有力であること、つまり、日本人の神観念が現在のお土産文化に繋がっているのだと説明した。
 また世界の他民族にもお土産文化というものは存在するが、日本人のお土産観の特色は「個人」を対象とするより、「皆」を意識してお土産を選ぶ点にあるようだ。これも日本の古代から受け継がれてきている「祭」がなした共同社会への配慮の名残であり、現在も日本人の生活の根幹にあるものである。
 しかしながら、現在の国際化社会の中では、日本人のもつお土産文化が誇れるものであるかどうかは疑問である。日本人よりも、日本人相手に商売をする外国人たちの方が、日本人のお土産文化を理解しており、それが利用されてトラブルに繋がるケースもよく耳にする。
 元来は、日本人の神観念からきた美しい文化であるべきお土産文化が、昨今では曲解され軽視される傾向にあるのはとても残念なことだ。今回の講義を通して、とかく海外に住んでいると忘れがちな自国文化に対する認識と、それが良いものであれば、変わらずに受け継がれるようにというメッセージを伝えたいと思った。
(報告:太田垣亘世ISF/NYセンターオフィサー)

★ 前回の入門講座の様子はこちらからどうぞ ★