第1回 英語による神道文化入門講座

「『千と千尋の神隠し』に観る神道の世界」
    2007年5月25日(金)に「英語による神道入門講座」を開催した。英語の入門講座はISFが設立されて以来初の試み。参加者は多くのアメリカ人を含む25名で、太田垣オフィサーのNY生活の話から始まり、和やかな雰囲気で進められた。
 テーマは「『千と千尋の神隠し』に観る神道の世界」で、宮崎駿氏のアニメーションが国境を越え誰の目をも楽しませ、そこから神道の神を自然に吸収することができるのではないかという狙いから設定されたもの。宮崎駿氏の映画には常にエコロジー、ヒューマニズムという現代社会へのメッセージが込められており、さらに『千と千尋の神隠し』には日本の八百万の神様が面白く表現されていたり、川、岩、山など神様の現れる場所が描かれている。自然崇拝、つまり神道の要素に溢れている映画なので、参加者は楽しみつつ理解していたようだ。
 太田垣オフィサーは「昔は神様と人間のコミュニケーションは多かったが、現代では神様は忘れられた存在となり、それと同時に人間の自然に対する想い、更には生きる力まで喪失してきているという切実なメッセージが込められている」とこの映画のエッセンスを説明。さらに、日本人は自然や神様をどのように受け止めているのか、今後、神様との共存は必要か、主人公の千尋のような子供が自分の力を発揮できる自然空間、こころの拠り所はつくられるかなどと、活発な意見交換がなされた。参加者は現在の日本社会、宗教を想定した上で、アメリカ社会と日本社会の自然に対する見方を比べたり、宗教への考えを述べていた。講座後の懇親会でも日米双方の活発な文化コミュニケーション風景が見られた。
 会のあと、アメリカ人参加者から「日本人が自然や物の中に多くの意味を見出していることを知って嬉しかった」「日本の神様はフレンドリーで近づきやすい」、また日本人の参加者からは「時代は変わってもモノに魂が宿ると言う考えからは離れることが出来ないだろう」などのコメントが寄せられた。
 太田垣オフィサーは「初めての試みで心配もあったが、有意義な催しとなった。今後もこの講座が参加者にとって互いの宗教や文化、習慣を知り、国境を越えた人間関係が円滑になるような機会となるように、役割を果たしていきたい」と意気込みを述べた。
★ 日本語による入門講座の様子はこちらからどうぞ ★